アクアスキュータム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 10:27 UTC 版)
王家御用達 (Royal Warrant)
2020年現在、王室御用達(Royal Warrant)の認証は受けていない。
- 1897年:プリンス・オブ・ウェールズ(後のエドワード7世)
- 1903年:プリンス・オブ・ウェールズ(後のジョージ5世)
- 1911年:ジョージ5世
- 1920年:プリンス・オブ・ウェールズ(後のエドワード8世)
- 1947年:エリザベス王妃、ジョージ6世夫人
- 1952年:エリザベス王太后
評判
英軍将兵の外套を作るメーカーだった事もあり、同社のコートの評判が窺えるエピソードがいくつか存在する。
その一つとして、1917年の4月18日に雑誌パンチにおいて同社が載せた広告[12]には、第一次世界大戦のアフリカ戦線で戦っていた英軍将校(匿名)から届いた手紙が掲載された。内容は以下の通りであった。
「我々は現地において、2分間にビール1杯分はありそうな雨が断続的に降る、熱帯雨林気候に悩まされています。ただ、こんな酷い嵐の中でも、御社の皆様にお届け出来る嬉しいニュースがあります。貴社のコートは常に雨を遮ってくれる優れ物だと言う話です。私は幸運な事にこのコートを手に入れられたお陰で、十分に本来の軍務を遂行する事が出来ております。」
( We are constantly having Tropical Rains, which wet one through in about two minutes. You will be pleased to hear that in spite of these awful storms, my “Aquascutum” keeps me quite dryーwhen I am fortunate enough to have the native car-riers near enough to get it. )
また著名人のアクアスキュータムに対する評価も高く、レーニエ3世や、芸能界ではピーター・セラーズ、ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、ソフィア・ローレン、ケーリー・グラント、マイケル・ケイン、政界でもウィンストン・チャーチル、ジョン・メージャーらが愛用者として知られる。マーガレット・サッチャーも愛用者の一人であり、「デイリー・テレグラフ」は、アクアスキュータムとサッチャーの関係性を以下のような内容で解釈している[13]。
「マーガレット・サッチャーのスタイル、アクアスキュータムと彼女の勝負服を決めるスタイリスト」
(原題:Margaret・Thatcher:Style, Aquascutum and the original power dresser)保守党政権から首相として選出された後、サッチャーはアクアスキュータムのスーツを愛用し、新自由主義の政治的メッセージと共に彼女自身の世間への「売り込み」に際して活かされた。彼女の好む洋服は保守的で「マスキュリン(男性的)」の様な印象が全くもってなく、「エグゼクティブ(責任ある立場)」であるという印象をもとに選んでいた。
(Indeed, Thatcher stuck almost exclusively to a signature ensemble throughout her life:a 'power' skirt suit with exaggerated shoulders 【often in blue, her party's color】, For the former PM, these items were more than just fashion; they were her armor. "I'm always safe in it." her working wardrobe, although ‘executive’, was never masculine.)そして、1988年当時のアクアスキュータムのディレクターであった、マーガレット・キングが彼女のスタイリストになった。この人物こそが「典型的なサッチャーのスーツ姿」を作り出した。
(Mrs King who became Mrs Thatcher’s dress adviser, and who created what became recognised the world over as the quintessential Thatcher look.)上記の印象から受けるように、アクアスキュータムは従来から「老舗としての品格」や「見せつけるより、品質の高さを知る者が持つ」という印象を持つ顧客達が多く、同社もそれに見合った印象を持たれていたようである。
しかし2012年の経営破綻以降は、その評価に関して百家争鳴していた事が、イギリス国内外問わず多くあった。実際、イギリス本国においてもBBCニュースのように売却情報のみに注目して報道する場合[14]もあれば、「ガーディアン」の様にかなり厳しい意見[15]を載せる紙面もあった。
しかし、ヘッドデザイナーのアンドレ・ハケットは「Glass Magazine」のインタビュー[16]で、ブランドコンセプトについて以下のように言及している。
「アクアスキュータム社の伝統と精神は変わらず受け継いでいく。その考え方を基にデザインチームによって変えていく」—過去数年の内に何度もオーナー企業が変わっていったのに対し、デザインチームはどのように対応しているのかとの質問に対し
(The Aquascutum ethos and heritage remains unchanged; it continues to be transformed by the design team.)
「清潔感と現代性に焦点を置いたコレクションにしたい。」—2014年のコレクションにおいて、以前よりプリント模様が多かったことの質問に対し
(Modernity and integrity were my main focus for this collection.)
「アクアスキュータムのトレンチコートや他の防水生地のコートはDNAだ。これは同社の全てのコレクションで脈々と続いている。」—同社の防水生地コートを、どのコレクションにおいても考えに入れるのはプレッシャーではないかとの質問に対し
( It is a natural part of the brand’s DNA./ It is the pulse of any Aquascutum collection.)
- ^ Kollewe, Julia (2009年9月8日). “Aquascutum: History of a trendsetter” (英語). the Guardian. 2018年10月11日閲覧。
- ^ “Permanent Style” (英語). Permanent Style 2018年9月28日閲覧。
- ^ “うんちく | SHINANOYA lifestyle Web Shop|横浜信濃屋”. shinanoya-lifestyle.com. 2018年10月1日閲覧。
- ^ “Aquascutum - the fashion retailer that clothed Crimean officers” (英語). The Independent 2018年10月1日閲覧。
- ^ “China's Shandong Ruyi expands fashion empire with Bally”. ロイター. (2018年2月9日) 2018年2月22日閲覧。
- ^ “レナウン、「アクアスキュータム」の国内商標権取得”. 日本経済新聞. (2017年12月26日) 2018年2月22日閲覧。
- ^ “倒産速報 株式会社レナウン”. 帝国データバンク (2020年5月18日). 2020年5月18日閲覧。
- ^ “小泉グループがレナウン「ダーバン」などを買収へ”. 東京商工リサーチ (2020年8月21日). 2020年8月22日閲覧。
- ^ “Modern Military Dictionary by Aquascutum Vol.2 Inspired by Army -SANDHURST | BLOG | Aquascutum アクアスキュータム” (英語). aquascutum.jp. 2018年10月11日閲覧。
- ^ “アクアスキュータム公式サイト”. aquascutum.jp. 2018年10月11日閲覧。
- ^ “Old Aquascutum factory is reinvented as The Clothing Works” (英語). Make it British. (2013年4月21日) 2018年9月28日閲覧。
- ^ Marshik, Celia (2016-11-29) (英語). At the Mercy of Their Clothes: Modernism, the Middlebrow, and British Garment Culture. Columbia University Press. ISBN 978-0-231-54296-8
- ^ Alexander, Hilary (2013年4月12日). “Margaret Thatcher: style, Aquascutum and the original power dresser” (英語). ISSN 0307-1235 2018年9月30日閲覧。
- ^ “Raincoat maker Aquascutum sold for £97m” (英語). BBC News. (2016年12月22日) 2018年9月30日閲覧。
- ^ Moulds, Josephine (2012年4月17日). “Aquascutum falls into administration” (英語). the Guardian. 2018年9月30日閲覧。
- ^ “Above the Trench” (英語). The Glass Magazine. (2014年6月17日) 2018年9月30日閲覧。
- 1 アクアスキュータムとは
- 2 アクアスキュータムの概要
- 3 王家御用達 (Royal Warrant)
- 4 外部リンク
固有名詞の分類
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