のりりん
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/10 09:49 UTC 版)
のりりん | |
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ジャンル | 自転車 |
漫画 | |
作者 | 鬼頭莫宏 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | イブニング |
レーベル | イブニングKC |
発表号 | 2010年2号 - 2015年7号 |
発表期間 | 2009年 - 2015年 |
巻数 | 全11巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
概要
とあるきっかけで自転車に乗らざるを得ない状況に追い込まれた自転車嫌いの主人公が、その魅力に目覚めていく様子を描いた自転車漫画である。
『なるたる』『ぼくらの』など、鬼頭はそれまでSF作品を多く描いてきたが、日常の世界観で自分の好きなものを描きたいと思い[1]、自身が描ける題材と『なるたる』の担当編集者の異動先である『イブニング』の当時の掲載状況を鑑みて自転車漫画を選んだという[2][3]。多くの過去作品とは違い現実を舞台とした明るい作風だが[2]、これは意図したものであり日常世界にネガティブな要素を入れないように気をつけたとのこと[1]。 また他の自転車漫画との差別化を図るため「教則本」をコンセプトにしており[2]、鬼頭は本作を「自転車に入り始めた人とか興味を持ち始めた人に向けたハウツー本みたいなイメージ」と語っている[4]。
神奈川県秦野市が舞台であり[5][6] 、サイクリングコースとしてヤビツ峠や箱根が登場する[7] ほか、作中のラーメン屋「輪」にもモデルが存在する[8]。また2015年3月15日に(公社)秦野青年会議所が主催した「サイクルカフェ in 表ヤビツ」では鬼頭が対談に招かれ、9巻表紙絵と同一のイラストがポスターに使われている[9]。
自転車ビギナーに対する入門書としての評価が高い[10][11]一方、自転車での走行シーンの描写にも定評がある[11][12]。南信長は本作を「コメディセンスもあり、地方都市の独身男女の群像劇としても楽しむこともできる」と評した上で、主人公視点で描いた自転車という乗り物の特性の描写を評価している[12]。
あらすじ
自転車嫌いで、走り屋仕様の自動車を乗り回していたノリこと丸子一典は公私ともドライブするのが日課であったが、ある日、交差点を右折する際に対向車線をタイムトライアルバイクで走っていた女子高生、織田輪をあやうく轢きそうになり、警察沙汰を避けたかったため免許証を輪に預けてしまう。その後、呼び出されて合コンに参加した友人たちを乗せているときに杏真理子に酒を口移しされ、その直後に警らに遭遇。酒気帯びに加え、定員超過と免許不携帯で免許証取消が確定してしまう。
学生時代の友人三ツ渕進との確執から自転車には乗らずにいたノリであったが、織田家に唆されて自転車に乗る(ポタリングする)ハメになる。
やがて、織田家の営むラーメン屋「輪」の客、等々力潤との自転車勝負などを経て、ノリの仲間たちも自転車に乗り始め、ツーリングやロードレースに参加していく。
三ツ渕進との再会をきっかけに、輪は三ツ渕だと思っていた自身の初恋の相手が実はノリだったことに気付く。中日向の薦めで、輪の好きな人の秘密とノリが自転車に乗らない理由の秘密を賭けた、輪とノリの競走が行われる。ノリの後ろを走っていることの楽しさから賭けを忘れかけていた輪だったが、すぐ我に返り一気に抜き去っていった。
夏休みが終わり、ノリはすっかり自転車がある生活が日常となる。自身の身の丈にあったスピード、それを他ならぬ自分の肉体が生み出しているという快感を実感しながら、ノリと輪は相変わらず2人で自転車通勤/通学を続けていく。
- ^ a b 『イブニング』2015年No.09 197-199頁
- ^ a b c 『Febri』Vol.40 137-140頁 ASIN B01N5EINZH
- ^ 『BICYCLE STYLE MAGAZINE』Vol.4 97頁 ISBN 978-4-7730-1868-4
- ^ “『ぼくらの』『のりりん』『隼ちゃんもとんでます』鬼頭莫宏氏スペシャルインタビュー”. 2020年3月9日閲覧。
- ^ “2016年度アワードライブラリー 公益社団法人 日本青年会議所”. 2020年3月9日閲覧。
- ^ “高齢者にモ〜っとチュ〜い 鬼頭莫宏さんのイラストで啓発 | 秦野” (日本語). タウンニュース (2020年12月25日). 2020年12月29日閲覧。
- ^ 具体的な地名は記されず「首都圏自転車乗りの聖地の一つ」、「温泉地帯の山系のフモトにある観光地」と形容されている。
- ^ 1巻227頁 「Special Thanks」
- ^ “自転車メッカで安全啓発 表ヤビツで初のイベント” (2015年3月14日). 2020年3月9日閲覧。
- ^ “空前の自転車ブームがマンガ界にも! いま自転車マンガが熱い ダ・ヴィンチニュース” (2012年11月29日). 2020年3月9日閲覧。
- ^ a b “『のりりん』第11巻 鬼頭莫宏 【日刊マンガガイド】このマンガがすごい!WEB” (2015年5月27日). 2020年3月9日閲覧。
- ^ a b 南信長 (2010年11月17日). “素人を二輪の世界へ誘う“自転車マンガ”の魅力。〜『弱虫ペダル』と『のりりん』〜”. Sports Graphic Number766号. 2014年11月21日閲覧。
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