きらり (人工衛星)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/02 05:22 UTC 版)
光衛星間通信実験衛星 「きらり(OICETS)」 | |
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所属 | JAXA |
主製造業者 |
日本電気株式会社 NEC東芝スペースシステム |
公式ページ | 光衛星間通信実験衛星「きらり(OICETS)」 |
国際標識番号 | 2005-031A |
カタログ番号 | 28809 |
状態 | 運用終了 |
目的 | 光衛星間通信実験衛星 |
設計寿命 | 1年 |
打上げ機 | ドニエプルロケット |
打上げ日時 |
2005年8月24日 午前6時10分(JST) |
停波日 |
2009年9月24日 午後2時48分(JST) |
物理的特長 | |
本体寸法 | 約0.78m×1.1m×1.5m |
質量 | 約550kg |
発生電力 | 1220W以上 |
姿勢制御方式 | 三軸姿勢制御 |
軌道要素 | |
軌道 | 円軌道 |
高度 (h) | 約500〜610km |
軌道傾斜角 (i) | 約35度 |
搭載機器 | |
LUCE | 光衛星間通信機器 |
概要
「きらり」は、数万キロメートルを隔てた衛星と衛星の間で、レーザー光による通信実験を行うための技術試験衛星である。欧州宇宙機関の先端型データ中継技術衛星「ARTEMIS」との間で実証実験を行うことを目的として、2005年(平成17年)8月24日午前6時10分(日本時間)にカザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地より打ち上げられた。同年12月9日には世界初の双方向光衛星間通信を成功させた。
光通信の利点には、「第三者に傍受されにくい」「レーザー光を細く絞って使用するので、電磁誘導ノイズの影響を受けにくく、安定して大容量のデータを送受信できる」「小型・軽量・大容量・低電力・高品質」ことなどがある。しかし衛星間の距離は最大で4万キロメートル以上で、さらにそれぞれが別の軌道を高速で周っているため、光通信を衛星間で行うためには高度な技術が必要とされる。「きらり」は、それらの実証実験を行うことを目的として打ち上げられた。
経緯
もともときらりはJ-Iロケットでの打ち上げを想定して設計され、2002年(平成14年)の打ち上げを予定していた。
その後J-I計画が凍結され、打ち上げロケットが未定となったが、光通信の相手方となるARTEMISの寿命が限られているため、まず国産ロケットによる打ち上げが検討された。しかしH-IIAロケット6号機がSRB-Aが原因で打ち上げに失敗したことで、H-IIAはもとよりそのブースターを流用するJ-Iの再開という選択肢も消えた。残るM-Vロケットも固体燃料ロケット特有の振動・加速等の環境の悪さ(この点はJ-Iも同様だが、射場設計の違いにより改善されうる)を理由に却下され、外国のロケットで打ち上げることが決定した。
その結果、コストやフェアリングサイズからウクライナのドニエプルロケットを使用することとなった。ロケットの打ち上げ重量に余裕があるため、小型技術実証衛星1号機「れいめい」をピギーバック衛星として共に打ち上げることとなった。
光学系
受信機に開口直径26cmの反射望遠鏡、波長は0.8um帯、広がり角は5μrad、ダウンリンクが50Mbps、アップリンクが2Mbpsである。[1]
- ^ “人工衛星と地上局間の光通信”. 宇宙開発における光技術 40. (2011) .
- ^ “光衛星間通信実験衛星「きらり」(OICETS)と情報通信研究機構光地上局による光通信実験の成功について”. 情報通信研究機構 宇宙航空研究開発機構. (2006年4月7日) 2014年5月24日閲覧。
- ^ 通信総合研究所季報 第43巻 第3号 技術試験衛星VI型(ETS-VI)通信実験特集
- ^ “光衛星通信技術ユニット 宇宙光通信地上局”. NICT. 2016年5月10日閲覧。
- ^ JAXA 光学地球観測衛星と光通信衛星をコラボ運用…2019年打ち上げを目指す
- ^ “宇宙から情報収集高める「新型衛星」打ち上げへ 中朝に対応”. MSN産経ニュース. (2014年5月6日). オリジナルの2014年5月5日時点におけるアーカイブ。 2014年5月10日閲覧。
- 1 きらり (人工衛星)とは
- 2 きらり (人工衛星)の概要
- 3 結果
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