ブラジル民主運動党とは? わかりやすく解説

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ブラジル民主運動党

(PMDB から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/29 09:20 UTC 版)

ブラジル政党
ブラジル民主運動党
Movimento Democrático Brasileiro
党首 バレイア・ロッシ
成立年月日 1980年
本部所在地 ブラジルサンパウロ
連邦下院議席数
42 / 513 (8%)
(2023年)
連邦上院議席数
10 / 81 (12%)
(2023年)
政治的思想・立場 中道 - 中道右派
包括政党
シンクレティズム
シンボル 黄色
公式サイト Pagina do PMDB
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ブラジル民主運動党(ブラジルみんしゅうんどうとう、ポルトガル語: Movimento Democrático Brasileiro、略称:MDB)は、ブラジル連邦共和国政党である。政治的立場は中道路線である。

概要

1979年12月に多党制を容認する政党改革法に基づき、軍事政権時代における「体制内野党」であったブラジル民主運動(MDB エミデーベー)を中心に保守主義者から左派系まで広範な反軍政勢力が結集した包括政党として1980年12月に結成された。この際、同法に基づき党名を ブラジル民主運動党(Partido do Movimento Democrático Brasileiro)へと変更し、略称をPMDBと定めた[1]。その後、1982年2月に大衆党(PP)を吸収合併した。

1985年には21年ぶりの文民大統領としてタンクレード・ネーヴェスを当選させ、ブラジルの民主化に貢献した。しかしネーヴェスは就任直後に死去した。

新憲法の制定議会を兼ねた1986年11月の総選挙では上下両院で議席の過半数を確保、州知事選でも23州中22州を占めるなど圧勝した。一方で1988年、右傾化したPMDBの姿勢に反発した党内左派が分裂し、新たにブラジル社会民主党を結成するなどした。

1992年にはコロール大統領が弾劾手続きにより大統領職から追放され、国家再建党からブラジル民主運動党に入党した副大統領のイタマール・フランコが大統領に就任した。

大統領の直接選挙制が復活した1989年以降、ジョゼ・サルネイイタマール・フランコフェルナンド・カルドーゾ大統領の政権与党として活動。2003年以降も左翼の労働者党を中心とするルーラ政権(2003年~2011年)、ジルマ・ルセフ政権(2011年~2016年)の与党として活動。

下院議長のエドゥアルド・クーニャ英語版は2015年8月20日、汚職疑惑で連邦検察庁に起訴された。収賄額は4000万ドルほど。他にペトロブラスや公的機関に損害を与えており、賠償が請求されている。[2]

2016年3月29日、ルセフ大統領の弾劾手続が進む中、社会保障関連予算を正式な手続きを経ずに執行をしたことを理由として連立政権離脱を決定。閣僚6名と省庁幹部の引き上げも決定し[3]2016年5月12日には、ルセフ大統領への弾劾が成立したことを受けて副大統領で党首のミシェル・テメルが大統領代行に就任した[4]。2016年8月31日にルセフ大統領が上院による罷免投票の結果罷免が議決されて大統領職を自動失職したことを受け、正式にテメル党首が第37代大統領に就任した[5][6]

2017年12月、党名を1980年より使い続けてきたPMDB(ブラジル民主運動党)から現在のMDB(ブラジル民主運動)へと変更することを発表。翌2018年5月に申し出がブラジル連邦最高裁判所によって承認され、正式に党名変更を行なった[7][8]

政策

中道とされるが、特定のイデオロギーを持たずに、保守から左派までを抱え、その時々によって立ち位置を変える包括政党シンクレティズム政党となっている。実際に、中道右派新自由主義政策を取ったカルドソ政権、新自由主義を否定して再分配を重視した左翼の労働党政権の時代でも政権与党としてとどまり続けており、ルセフ大統領への弾劾以降も与党の地位にいるなど、民主化以降のブラジル政治では2年間のフェルナンド・コロール・デ・メロ政権時を除き、一貫して与党に君臨している。

脚注

  1. ^ Brasil, CPDOC-Centro de Pesquisa e Documentação História Contemporânea do. “PARTIDO DO MOVIMENTO DEMOCRATICO BRASILEIRO (PMDB)” (ポルトガル語). CPDOC - Centro de Pesquisa e Documentação de História Contemporânea do Brasil. 2025年10月29日閲覧。
  2. ^ クーニャ=8千万米ドルの返済迫られる=賄賂支払強要の疑惑=元女性下議も同時に起訴へ=コーロルは収賄300件とも
  3. ^ ブラジル、最大政党が連立離脱 政権運営一段と苦しく日本経済新聞 2016年3月30日
  4. ^ “Brazil's Senate Votes to Impeach President Dilma Rousseff”. NBC News date= 12 May 2016. http://www.nbcnews.com/news/world/brazil-senate-votes-impeach-president-dilma-rousseff-n572606 2016年5月12日閲覧。  {{cite news}}: |agency=でパイプ(|)が欠落しています。 (説明); 不明な引数|1=が空白で指定されています。 (説明)
  5. ^ “ブラジルのルセフ大統領、上院弾劾裁判で罷免 最高裁への上訴検討”. Reuters Japan (Thomson Reuters). (2016年9月1日). https://jp.reuters.com/article/rousseff-brazil-idJPKCN1162O5/ 2017年9月7日閲覧。  {{cite news}}: CS1メンテナンス: 先頭の0を省略したymd形式の日付 (カテゴリ)
  6. ^ “ルセフ大統領、弾劾で失職=後任にテメル氏-ブラジル”. 時事ドットコム (時事通信社). (2016年9月1日). http://www.jiji.com/jc/article?k=2016090100029&g=int 2017年9月7日閲覧。  {{cite news}}: CS1メンテナンス: 先頭の0を省略したymd形式の日付 (カテゴリ)
  7. ^ PMDB tira o 'P' para minimizar desgaste político e volta a ser MDB” (ポルトガル語). Jornal Nacional (2017年12月19日). 2025年10月29日閲覧。
  8. ^ Aprovada mudança do nome do Partido do Movimento Democrático Brasileiro (PMDB)” (ポルトガル語). Justiça Eleitoral. 2025年10月29日閲覧。

参考文献

  • 『世界の議会12 南米・オセアニア』ぎょうせい
  • 特集「ラテンアメリカにおける左派の台頭Ⅱ ブラジル:大統領選挙と2期目を迎えたルーラ政権」。アジア経済研究所『ラテンアメリカレポート Vol.24 No1』18~27頁。

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