OD (ビデオゲーム)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/16 02:53 UTC 版)
| ジャンル | ホラー |
|---|---|
| 開発元 | コジマプロダクション |
| 発売元 | Xbox Game Studios |
| プロデューサー | 小島秀夫 |
| ディレクター | 小島秀夫 |
| デザイナー | 小島秀夫 |
| シナリオ |
|
| エンジン | Unreal Engine 5 |
『OD』は、コジマプロダクションが開発し、Xbox Game Studiosより発売予定のホラーゲームである。本作は「恐怖の閾値を試す」ことと、「恐怖の"OD"」をコンセプトに掲げている。
監督・プロデュース・脚本・ゲームデザインなどを務める小島秀夫のもとに、クリエイティブパートナーとして映画監督のジョーダン・ピールをはじめとする、様々なストーリーテラーが集い、共同で制作される[1][2][3]。
概要
『DEATH STRANDING』シリーズに続く、コジマプロダクションにとって2つ目となるオリジナルIP。
マイクロソフトのクラウド技術を活用し、ユニークで没入感のある、全く新しいスタイルのゲームの創造を目指している[2][4]。
キャッチコピーは「FOR ALL PLAYERS AND SCREAMERS」(すべてのプレイヤーと絶叫者たちへ)。
単一のゲームではなく、サブタイトルが付与された複数の作品群で構成される、アンソロジー形式に近いプロジェクトであることが特徴となっている[5]。作品ごとに異なるストーリーテラーが参加する予定で、判明している共同制作者の一人として、映画監督のジョーダン・ピールが名を連ねている。
小島は本作を「小さな規模のとんがったゲーム」とも説明しており、「おそらく論争を呼び、人によって好き嫌いがはっきり分かれるだろう」と述べている[2][4][6]。さらに、その真価が問われるのは「10~20年後になるだろう」との見解も示しており、短期的な評価に留まらない作品を目指していることを示唆している[6]。
小島が本格的に手掛けるホラーゲームとしては、2014年に配信された『P.T.』以来となる。
登場人物・キャスト
TBA
作品一覧
| 発売年 | タイトル | ディレクター | プロデューサー | シナリオ |
|---|---|---|---|---|
| TBA | OD - KNOCK | 小島秀夫 | ||
| (タイトル未定) | 小島秀夫 | 小島秀夫 ジョーダン・ピール |
||
開発とマーケティング
2019年
2020年
- 5月29日 - 公開されたインタビューで、小島は新たな企画構想を明かした[8]。
- 彼は、従来のAAAタイトルとは別に、少人数で手掛ける実験的な新企画が存在していることを示唆した。その実現方法として、テレビシリーズのようにエピソード単位でコンテンツを制作・配信するスタイルを提唱。この手法は、かつて開発中止となった『Silent Hills』で計画されていたものである。
2022年
- 1月23日 - 小島は、『DEATH STRANDING 2』の開発本格化に触れ、並行して「小規模でとんがったタイトル」の企画・実験を進めていることを明かした[1]。
- 6月13日 - 「Xbox & Bethesda Games Showcase 2022」にて、コジマプロダクションとXbox Game Studiosのパートナーシップ締結が発表された[9]。小島は、「マイクロソフトのクラウド技術」と「市場の変化」によって、自身が長年構想していたゲームの開発が可能となったと語った。
2023年
- 10月 - 本作の特別企画合宿が熱海市で実施された[10]。
- 12月1日 - コジマプロダクションが「OD」および「Social Scream System」の商標を出願した[11][12]。
- 12月8日 - 「The Game Awards 2023」にて、ティザートレーラーと共に本作のタイトル『OD』が正式に発表される[13]。ステージには小島と共に、共同制作者として映画監督のジョーダン・ピールが登壇した。また、ピールの他にも複数のホラー分野のクリエイターが「クリエイティブパートナー」として参加することも示唆された。主要キャストとしてソフィア・リリス、ハンター・シェイファー、ウド・キアの3名が紹介された。
- 12月9日 - 小島は自身のSNSで、以前から語っていた「小規模でとんがったタイトル」の正体が、本作『OD』であることを明言した[14]。
2025年
- 9月23日 - コジマプロダクションの設立10周年記念イベントにて、新たなティザートレーラー『OD - KNOCK』が公開された[15]。小島は、本作が複数の作品群からなるプロジェクトであると説明。自身が手掛ける『OD - KNOCK』のほか、ジョーダン・ピールらが参加する別テーマの作品が存在することを示した。また、SAG-AFTRAによるゲーム業界に対するストライキの影響で、俳優の3Dスキャンは完了しているものの、本格的なパフォーマンスキャプチャーはこれから開始される段階であることが公表された。
- 10月24日 - 公開されたインタビューにおいて、Xbox責任者のフィル・スペンサーが本作について語った[16]。スペンサーは、小島との最初の話し合いで、彼から非常に大胆なアイデアが共有されたこと、そして彼が「すごく怖いゲームを作りたい」という意志を持っていたことを振り返った。また、開発協力の側面にも触れ、Xbox Game Studiosは本作がUnreal Engine 5を採用していることから、主にUnreal Engine 5に関する技術的な知見を提供していると説明。さらに、ゲームプレイとテクノロジーの両面において、両者のメンバーが密接に連携を取りながら開発を進めていることも明かした。
『P.T.』『Silent Hills』との関連性
本作『OD』には、2015年に開発が中止されたコナミのホラーゲーム『Silent Hills』から継承されたと見られる構想が複数存在する。
『Silent Hills』は、サイレントヒルシリーズの完全新作として、当時コナミに在籍していた小島秀夫が開発を主導しており、その"遊べる予告編"として2014年に配信されたインタラクティブティーザー『P.T.』は、批評家から絶賛された。同作は後続のホラーゲームに多大な影響を与えたが、諸事情により『Silent Hills』本編は開発中止に至った経緯がある。
具体的な共通点としては、以下のような点が挙げられる。
- 極限の恐怖の追求
- 一般的なホラーゲームが商業的な理由から意図的に恐怖を抑制しているのに対し、両作は「プレイヤーが途中でプレイを放棄することも覚悟の上で、極限の恐怖を追求する」というコンセプトを共有している[7]。小島は、『Silent Hills』構想時(2014年)と『OD』発表後(2025年)の双方で、「(比喩として)失禁してしまうほど怖いゲームを目指している」という趣旨の発言を繰り返している[17][5]。
- 他分野の著名クリエイターとの協業
- ゲーム業界の枠を超え、他分野のクリエイターと協業する制作スタイルが共通している。『Silent Hills』では映画監督のギレルモ・デル・トロと漫画家の伊藤潤二が参加予定であったのに対し、『OD』では映画監督のジョーダン・ピールが共同制作者として参加することが発表されている[3][18]。
- エピソード形式での開発・配信構想
- 小島は『Silent Hills』の構想として、従来の大型ゲームのような一括開発ではなく、テレビシリーズのようにエピソード単位で制作・配信する手法を提唱していた。これは、開発リスクを低減しつつ、ユーザーの反応や時代性を迅速に作品へ反映させることを目的としたものであった。加えて小島は、特にホラーというジャンルと大規模開発の相性の悪さについて言及している。大作になると、商業的な理由からより多くのユーザーに訴求するための様々な要素を追加する必要が生じ、それが結果として純粋な恐怖を「崩壊」させてしまうと述べている。エピソード形式は、こうした問題を回避し、恐怖表現に妥協しない作品作りを可能にするための方法論でもあった[19]。『OD』も複数の独立した作品で構成されるプロジェクトであることが明かされており、この構想との共通点が見られる[5]。
評価
受賞歴
| 年 | 式典 | 受賞部門 | 結果 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | ゴールデンジョイスティックアワード | 最もプレイしたいゲーム | 未決定 | [20] |
関連作品
参考文献
- ^ a b 福山幸司 (2022年1月23日). “小島秀夫監督が2本のタイトルを準備中であることを明かす。「大きな規模のタイトル」と「小さな規模のトンがったタイトル」、コジマプロダクションのスタッフも募集中”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない?. 2025年9月8日閲覧。
- ^ a b c “小島秀夫、50年間の誤解に謝罪「怖いどころか、猛烈によく出来た映画だった」”. ananweb. 2025年10月18日閲覧。
- ^ a b c d e “KOJIMA PRODUCTIONSとXbox Game Studios『OD』を発表 | Kojima Productions”. www.kojimaproductions.jp. 2025年9月23日閲覧。
- ^ a b “KOJIMA PRODUCTIONS AND XBOX GAME STUDIOS ANNOUNCE “OD” AT THE GAME AWARDS 2023 | Kojima Productions” (英語). www.kojimaproductions.jp. 2025年10月3日閲覧。
- ^ a b c KOJIMA PRODUCTIONS (2025-09-23), KOJIMA PRODUCTIONS 10周年記念イベント「Beyond The Strand」アーカイブ映像 [日本語-Japanese ] 2025年10月19日閲覧。
- ^ a b SSENSE (2025年7月30日). “小島秀夫 ザ・クリエイター”. ssense. 2025年10月3日閲覧。
- ^ a b ヨシムネ (2019年11月26日). “小島秀夫監督がホラーゲーム開発に意欲を見せる。かつて「ゾンビのゲーム創りたい」とツイートしたことや、幽霊映画が苦手な一面も”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない?. 2025年7月21日閲覧。
- ^ “【インタビュー】日本に本物のクリエイターはいるのか? 小島秀夫監督が「作家性」にこだわる理由”. ライブドアニュース. 2025年10月26日閲覧。
- ^ Xbox (2022-06-12), Xbox & Bethesda Games Showcase 2022 2025年7月20日閲覧。
- ^ “小島秀夫、50年間の誤解に謝罪「怖いどころか、猛烈によく出来た映画だった」”. ananweb. 2025年9月8日閲覧。
- ^ “商標ウォッチ” 2025年10月24日閲覧。
- ^ “商標ウォッチ” 2025年10月24日閲覧。
- ^ (日本語) THE GAME AWARDS 2023: Official 4K Livestream (Monster Hunter, Marvel's Blade, Light No Fire) 2025年7月20日閲覧。
- ^ 小島秀夫のX https://x.com/Kojima_Hideo/status/1733315465131475286
- ^ KOJIMA PRODUCTIONS (2025-09-22), OD - KNOCK Teaser Trailer - [ESRB 4K] 2025年9月23日閲覧。
- ^ “フィル・スペンサー氏に“Xboxのつぎのコンソール”や小島監督の『OD』、『Halo』シリーズの今後など、気になるあれこれを聞いた【インタビュー】 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com”. ファミ通.com. 2025年10月24日閲覧。
- ^ IlPeggiore (2014-08-15), Hideo Kojima Gamescom 2014 Full Interview 2025年10月20日閲覧。
- ^ Ishimoto, Shuji (2015年9月28日). “『Silent Hills』の開発には「富江」や「うずまき」の"伊藤潤二"も協力する予定だった、デル・トロ監督が告白”. AUTOMATON. 2025年10月20日閲覧。
- ^ 電撃オンライン. “小島監督に『MGSV:TPP』と『P.T.』についてインタビュー! 選択肢の1つであるバディや自由潜入について迫る【TGS2014】 - 電撃オンライン”. dengekionline.com. 2025年10月20日閲覧。
- ^ GameWith編集部 (2025年10月5日). “「Golden Joystick Awards 2025」のノミネート作品が発表!”. ゲームウィズ. 2025年10月21日閲覧。
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