シティ・オブ・エバレット
(N7470 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/09 09:03 UTC 版)
シティ・オブ・エバレット(英語: City of Everett)は、ボーイングによって製造された大型ジェット旅客機、ボーイング747のプロトタイプである。登録番号はN7470。この機体は1968年9月30日に組立ラインから出荷され、翌1969年2月9日に初飛行した。747の飛行試験プログラム終了後もボーイングが保有し続け、1990年代初頭まで研究および試験目的で使用された。1995年4月6日に最終飛行を行い、その後はワシントン州シアトルの航空博物館「ミュージアム・オブ・フライト」に展示されている。
歴史
ジャンボジェットの誕生
1968年9月30日、ボーイング747-100の最初の機体にして試作機(登録番号N7470)が、ボーイング・エバレット工場の生産ラインから出荷された。この工場は747の製造のために建設された巨大な建物で、747製造とほぼ同時期に建設された[1][2]。この機体には製造番号20235が付けられ[2]、社内ではRA001と命名された[要説明]。これがジャンボジェットの時代の幕開けとなった[3]。
N7470の塗装はシンプルな白と赤を基調とし、この機種を発注した20社以上の航空会社のロゴがあしらわれていた[4]。
エバレットの工場で製造されたことから、ボーイングはこの機体に「シティ・オブ・エバレット」という愛称を付けた[5]。
認定フライト
N7470は1968年9月に公開されたものの、実際に空を飛んだのは翌1969年の2月9日だった[2]。この初飛行は、ボーイングのチーフテストパイロットであったジャック・ワデルが操縦し、エンジニアリングテストパイロットのブライアン・シングルトン・ワイグルとフライトエンジニアのジェシー・アーサー・ウォリックが同行した[6]。N7470は、1969年12月30日に連邦航空局(FAA)によって型式証明を受けるまで、試験飛行を続けた[7]。
ボーイングの試験機として
747の試験飛行終了後、ボーイングは1970年7月に同機をN1352Bとして再登録し、当初の設計仕様を超える試験が計画された。これは主に軍事目的で、N1352Bをロッキード SR-71やボーイング B-52 ストラトフォートレスの空中給油機として使用することが含まれていた。しかし、ボーイング747の空中給油機としての使用は理想的ではなく、最終的に同機は元のN7470として再登録された[要出典]。
その後この機体は1983年10月から1986年8月にかけてラスベガスにて保管された後、ウィチタに移送され、エアフォースワンで使用される要人輸送機「VC-25」開発のためのモックアップとして使用された[7]。
また、当時開発中であったボーイング777に搭載されるエンジン「プラット・アンド・ホイットニー PW4000」の試験機としても使用された[2]。
N7470はボーイングによって保有・運用され、顧客に引き渡されることも、商業運航されることもなかった[8]。この機体の飛行時間は計約5,200時間であり、年間3,000時間から4,000時間という一般的な民間航空機の飛行時間と比べると比較的短いものの、度重なる失速や急降下など、より過酷な状況にさらされていた[7] 。
退役と保存
1995年4月6日、N7470はラストフライトを迎えた[7]。試験機の状態のままこの機体はワシントン州シアトルのキング郡国際空港に隣接する航空博物館「ミュージアム・オブ・フライト」に寄贈され、静態展示された。
2000年代初頭までに、この航空機は老朽化と雨天に長期間さらされたことにより、修復が必要となった[9]ことから、博物館の理事会は2012年夏に修復を承認し、約2年にわたる作業に着手した。機体は格納庫に移動されることなくその場で修復されたため、複雑な作業となった。機体の外装では、色あせた塗装が剥がされ、乗組員が60ガロン以上の新しい塗料を使い再塗装した。カビで損傷していた内装は、メインデッキに試験装置が設置され、アッパーデッキには時代に合わせた布張りが施されるなど、初飛行時の状態に復元された。機体は2014年に一般公開された[10][11]。修復後、N7470と他の展示機の保存状態を良くするために、展示エリアの上に大きな屋根が建設された[12]。
出典
- ^ Birtles, Philip (2000) (English). Boeing 747-400. Ian Allan Publishing. p. 9. ISBN 978-1-882663-51-4
- ^ a b c d “Boeing 747-121” (英語). Museum of Flight. 2011年7月15日閲覧。
- ^ Gilchrist, Peter (1998) (English). Airlife's Airliners: Boeing 747-400. Airlife. p. 16. ISBN 978-1-85310-933-1
- ^ Podsada, Janice (2018年9月30日). “50 years ago, they rolled it out: the first Boeing 747” (英語). The Everett Herald 2024年2月18日閲覧。
- ^ “First 747 called "City of Everett"”. Spokane Daily Chronicle. Associated Press: p. 16. (1971年7月12日)
- ^ Davies, Carl (2007). Plane Truth: A Private Investigator's Story. Algora Publications. p. 70. ISBN 978-1-892941-31-2
- ^ a b c d “The first 747 jet folds its wings for retirement”. Eugene Register-Guard. Associated Press: p. 7C. (1990年4月1日)
- ^ Sloan, Chris (2023年3月2日). “Behind the scenes at the final Boeing 747 delivery ceremony” (英語). Key.aero. 2024年2月18日閲覧。
- ^ Judd, Ron (2012年9月7日). “The world's No. 1 jumbo jet languishes, looking for a savior” (英語). The Seattle Times 2024年2月18日閲覧。
- ^ Jeremy, Dwyer-Lindgren (2014年10月24日). “The world's first Boeing 747 gets a much-needed makeover” (英語). USA Today 2024年2月17日閲覧。
- ^ Judd, Ron (2015年2月27日). “From rust bucket to showpiece: Volunteers are rescuing the first Boeing 747” (英語). The Seattle Times 2024年2月18日閲覧。
- ^ Judd, Ron (2023年2月8日). “An ode to a deserved legend — Boeing's 747” (英語). Cascadia Daily News 2024年2月18日閲覧。
関連項目
- 保存されたボーイングの機体の一覧
- B-HNL - ボーイング777のプロトタイプ。
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