IHPS_(ヘルメット)とは? わかりやすく解説

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IHPS (ヘルメット)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/21 19:44 UTC 版)

統合頭部保護システム
Integrated Head Protection System
AN/PSQ-42 ENVG-Bヘルメットマウントアセンブリ付きIHPSヘルメット
種類 戦闘用ヘルメット
原産国 アメリカ合衆国
使用
使用期間 2019年 - 現在
使用者  アメリカ陸軍
戦争

対テロ戦争

生産
生産者 エイボン・プロテクション セラダイン 3M
生産時期 2019年 - 現在
生産数 119,000以上
仕様
重量 中型サイズ: 約3ポンド/1.36 kg
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IHPS英語: Integrated Head Protection System、統合頭部保護システム)は、アメリカ陸軍の最新型戦闘用ヘルメットであり、将来的にはACHECHを置き換えることが意図されている[1]

このヘルメットは、アメリカ陸軍ソルジャー計画執行室英語版の兵士防護システム(英語: Soldier Protection System、略称:SPS)プログラムによって開発され、エイボン・プロテクションの子会社であるセラダインによって製造されている。

このヘルメットは、2019年にアフガニスタンイラクおよびシリアの戦闘地域に展開する部隊に初めて配備された。

歴史

バグダッドのアメリカ大使館への攻撃において、IHPSを着用したアメリカ陸軍第25歩兵師団の兵士

IHPSヘルメットは、2013年にACHおよびECHの代替品として開発が始まる[2]。この開発は、アメリカ陸軍の「ソルジャープロテクションシステム」プログラムの一環で、兵士の保護とパフォーマンスを向上させつつ、個人防護装備 (PPE) の重量を軽減することが目指された。2018会計年度第2四半期に低率初期生産英語: Low Rate Initial Production、略称:LRIP)の納入が始まった[3]。このヘルメットは、早期配備イニシアチブ(英語: Rapid Fielding Initiative、略称:RFI)プログラムを通じて戦闘地域に展開する部隊へ最初に配備された。

2019年10月、この新型ヘルメットは、アフガニスタンで車両に投げられたレンガから兵士の頭部を保護したと報告された[4]

IHPSは、2019年から2020年のバグダードの在イラク・アメリカ大使館への攻撃の際に、アメリカ陸軍第25歩兵師団の兵士が着用した。

2024年2月、アメリカ陸軍は「次世代IHPS (NG IHPS)」の配備を開始した。この新型ヘルメットは、5.455.56mmの小銃弾に対しての防御力とともに、ライフル弾への防御力を有している。配備は第82空挺師団から開始され、2024年末までに第101空挺師団への配備が予定されている[5]

設計

IHPSは、戦闘用の眼の保護具(英語: Military Combat Eye Protection、略称:MCEP)と組み合わせることで、「ソルジャープロテクションシステム」の頭部保護部分が完成する。IHPSは、従来のヘルメットよりも5パーセント軽量で、鈍的な衝撃、受動的な聴覚保護、および弾道保護を向上させているとされている。さらに、弾道保護を強化するための2ポンド(0.9kg)のアプライアーマープレートがオプションで用意されている。[6]。オリジナルのIHPSは、アラミド繊維を使用しており、ピストル弾や破片に対する防御力を持っている。[5]

IHPSヘルメットのボルトレスチンストラップアタッチメント

IHPSは、従来のヘルメットとは異なり、ボルトを使用しないチンストラップ保持システムを採用しており、従来のヘルメットで必要とされたストラップを固定するための穴が不要で、弾道の弱点が少なくなっている[7]

IHPSには、懐中電灯やカメラ、ヘッドセットなどの装備を取り付けるためのサイドレールが装備されており、従来よりも機能が多様化された構造となっている。[3]

2021年後半、エイボン・プロテクション・セラダインは、3M製のペルターComTacヘッドセットに対応する独自のレールマウントアダプターの開発を完了した。これは、ヘルメットが以前には通信機器との統合機能に欠けていたという一般的な不満に対応するためであり、人気が高まっているハイカットスタイルのヘルメットと同様の機能を備えるようになった[8]

設計(次世代IHPS)

2024年2月に導入された次世代IHPS(NG IHPS)は、従来のIHPSの機能の8分の1ほどを維持した上で防御機能を高めたものとなっており、ヘルメットの素材が従来のアラミド繊維からポリエチレンに変更されている他、爆発の衝撃を分散することが可能になっている。また、オプションの保護システムも開発されており、重量が1kg以上上昇する代わりに、5.45~5.56mmの小銃弾、またはライフル弾に対し防御力を発揮させることが可能になる装着型のカバーセットや、顎部の保護に特化したマンドブルとアイシールドが装着可能である。

そして、従来のIHPSでは、旧型のAN/PVS-14AN/PSQ-20暗視装置しか取り付けることができなかったが、次世代IHPSでは新型のAN/PSQ-42 ENVG-Bも取り付け可能になっている[9]

採用国

脚注

出典

  1. ^ Keller, Jared (2019年3月3日). “New Army Body, Helmet Coming To Soldiers Soon” (英語). Task & Purpose. 2024年8月18日閲覧。
  2. ^ Soldier Protection System Torso and Extremity Protection - Another System Built By The Lowest Bidder - Soldier Systems Daily” (英語). Soldier Systems (2015年7月27日). 2024年8月18日閲覧。
  3. ^ a b Soldier Protection System (SPS)” (英語). U.S. Army Acquisition Support Center (USAASC). 2024年8月18日閲覧。
  4. ^ Sheftick, Gary (2019年10月21日). “New protective gear saves Soldier's life” (英語). Army News Service. 2024年8月18日閲覧。
  5. ^ a b South, Todd (2024年2月12日). “Army fielding new helmet that protects against small arms fire” (英語). Army Times. 2024年2月17日閲覧。
  6. ^ Cox, Matthew (2019年10月15日). “Army Secretly Fields Lighter Helmet that Offers More Ballistic Protection” (英語). Military.com. 2021年5月3日閲覧。
  7. ^ Pickrell, Ryan (2019年3月7日). “US Army's new helmets and body armor will make soldiers lighter, faster, and even harder to kill” (英語). Business Insider. 2021年5月3日閲覧。
  8. ^ PRESS RELEASE - A NEW APPROACH TO PROTECTIVE COMMUNICATIONS FOR THE IHPS HELMET” (英語). Avon Protection (2021年10月8日). 2022年2月3日閲覧。
  9. ^ 「米軍、次世代戦闘用ヘルメット(NG-IHPS)を配備」『carroemotos』2024年2月18日。



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