回折格子 diffraction grating
回折格子
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 01:11 UTC 版)
回折格子(かいせつこうし)とは、格子状のパターンによる回折を利用して干渉縞を作るために使用される光学素子の総称。グレーティング(英: diffraction grating)とも呼ばれる。格子パターンは直線状の凹凸がマイクロメートルサイズの周期で平行に並んで構成されていることが多い。ただしその周期、材質やパターン厚(凹凸の差厚)などは用途や使用する波長域によって適宜異なる。主に物理・化学分野で分光素子として用いられるものの用途は一概には言えない。 回折格子による干渉縞が見られる身近な例としては、CDが挙げられる。(後述)(ただしCDは、構造的に回折格子になっているものの、情報の読み取りに回折を利用しているわけではない)
注釈
- ^ ただしこれは回折格子のパターンや周期性にもよる。
- ^ 分光の場合はフラウンホーファー回折を用いるが、イメージングの場合はフレネル回折を利用することが多い
- ^ 格子がどのような2次元パターンでもフラウンホーファー回折領域の干渉縞の形はそのフーリエ変換に相当するため、光コンピューティングの分野でフーリエ変換を高速に行うための手法として研究されていた。また、ホログラムは再生対象となる物体から散乱あるいは屈折された光がフレネル回折領域に作る干渉縞そのものをパターンとした回折格子である。ホログラムの再生過程ではこの干渉縞から元の物体形状を光学的に再構成する。この場合、ホログラムへの記録が物体形状のフレネル変換、その再生が逆フレネル変換に相当している。
- ^ 透過型回折格子を使用した分光器の例 “Mini-spectrometer TG series C9404CA | Hamamatsu Photonics”. 浜松ホトニクス. 2022年3月7日閲覧。
- ^ 実際、高等学校の物理の教科書では回折格子を分光素子としては特に紹介せず、それによる単色光の回折と干渉のみを扱うことが多い。
- ^ 実際に干渉が起こるかどうかは入射光のコヒーレンスによるが、ここでは入射光として光軸に垂直な平面内で位相の揃った完全な単色光を仮定しているので必ず干渉が起こる。現実には単色光としてレーザー光を用いることが多い。
- ^ 数学的には、干渉縞のパターンは格子のパターンのフーリエ変換に相当する
- ^ 分光ではn=1(またはn=-1)を用いることが多い。一般的にnの絶対値が大きくなるほど強度が弱くなる。
- ^ 格子サイズと光のコヒーレンスが有限であること、またフラウンホーファー回折による0次干渉縞が強く現れることから、一般的にフレネル回折による干渉縞はLが大きくなるにつれて判別できなくなる。
- ^ 右記の論文に彼らが作ったものと同様の回折格子の写真が掲載されている。Greenslade, Thomas B., "Wire Diffraction Gratings," The Physics Teacher, February 2004. Volume 42 Issue 2, pp. 76-77.
出典
- ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 255-256
- ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 255
- ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 84
- ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 41
- ^ http://www.nhm.ac.uk/about-us/news/2006/mar/news_7834.html
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