チェボタレフの密度定理とは? わかりやすく解説

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チェボタレフの密度定理

(Chebotarev's density theorem から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/19 06:42 UTC 版)

代数的整数論(チェボタレフのみつどていり、: Chebotarev's density theorem)とは、有理数体

F の素イデアル 𝔭G×H におけるフロベニウス元を (σ, τ) とすると、拡大 K/F における 𝔭 のフロベニウス元は σ なので、dinfd の定義で極限の代わりに下極限を取ったものを表すことにすると

が成り立つ。

στ を取って固定する。τ はその位数が n で割り切れるものを取ったとする。(σ, τ) で生成される部分群を <(σ, τ)> とすると、これと G×{1} の共通部分は単位元のみである。 L<(σ, τ)> に対応する部分体とすると L(ζ) = K(ζ) であり L(ζ)/L は円分拡大である。

円分拡大については密度定理は証明できていたとすると dinf (K(ζ)/L, {(σ, τ)}) は存在しその値は密度定理が主張するものと等しい。これから簡単な議論[注釈 2]により dinf (K(ζ)/F, {(σ, τ)}) も存在しその値は 1/(#G・#H) に等しいことがわかる。先ほどの不等式において和を取る範囲を H から位数が n で割り切れる H の元の集合 Hn に狭めこの値を代入することにより不等式

が得られる。#Hn/#H がいくらでも1に近くなるように素数 m が取れる[注釈 3]ので、これから

が成り立つことがわかった。この不等式が #G 個ある全ての σ について成り立つためにはこの不等式が等号で成り立たねばならない。よって密度定理が証明できた。以上が円分体交差法による証明である。

脚注

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注釈

  1. ^ この例で述べていることは、G が対称群なのでフロベニウスの定理だけから分かる。一般には G の共役類は同じ巡回置換型を持つというだけでは特徴づけることができない。
  2. ^ Lenstra & Stevenhagen (1996, p. 18) の(*)参照。
  3. ^ 算術級数定理により任意の k に対して m ≡ 1 mod nk となるような素数 m が存在することを使う。

出典

  1. ^ a b Section I.2.2 of Serre
  2. ^ Lenstra, Hendrik (2006年). “The Chebotarev Density Theorem”. 2018年6月7日閲覧。
  3. ^ Lagarias, J.C.; Odlyzko, A.M. (1977). “Effective Versions of the Chebotarev Theorem”. Algebraic Number Fields: 409–464. 
  4. ^ Iwaniec, Henryk; Kowalski, Emmanuel (2004). Analytic Number Theory. Providence, RI: American Mathematical Society. p. 111 
  5. ^ Corollary VII.13.10 of Neukirch
  6. ^ Corollary VII.13.7 of Neukirch
  7. ^ Lenstra & Stevenhagen 1996, p. 16. 千田 (2010, pp. 4–7) に類体論を使う証明がある。
  8. ^ Lenstra & Stevenhagen 1996, p. 17.
  9. ^ On the history of the Artin Reciprocity Law
  10. ^ Lenstra & Stevenhagen 1996, p. 18.

参考文献




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