Bicholim conflictとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Bicholim conflictの意味・解説 

ビコリム戦争

(Bicholim conflict から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/02/26 17:47 UTC 版)

ビコリム戦争(ビコリムせんそう、: Bicholim conflict)は、ウィキペディア英語版に2007年-2012年の間、史実として掲載された虚構記事である。

「1640-41年、ポルトガルマラータ王国の間で起きた戦争」という一見もっともらしい嘘が5年以上の長期間ウィキペディア上に放置されていたことは、ニュースになった[1]

経緯

2007年7月に "A-b-a-a-a-a-a-a-b-a" という名の利用者が主執筆者として作成した約4500語[2]からなる歴史項目「ビコリム戦争」は、極めて詳細に書かれた記事だった[1]。おおまかな内容は次のとおりである。

1640年から1641年にかけて、ゴアを支配するポルトガル軍とその北のマラータ王国の大軍が衝突し、後にビコリム戦争と呼ばれる戦闘が起こった。その名は主戦場となったインド北部のビコリム英語版から付けられた。戦争は和平協定を以って終結し、インドにおけるゴアの自立が進むことになった[2]

しかし、これらは全て虚偽であった。[2]。この記事は作成から2ヶ月後に「良質な記事」(全記事の 1% が該当)に選ばれ[2]、さらに「秀逸な記事」(全記事の 0.1% が該当)として自薦されたが[2][3]、記事が少数かつ信頼性の低い出典に依拠しているという理由で審査者らから却下された[2]

5年後の2012年12月、"ShelfSkewed" という名の利用者が何気なく[2]この記事の出典を検証してみたところ、主に参考にしたと称する書籍が実在せず、出典として示されたネット上の情報源も、元をたどると結局この記事に戻ってくる[2]。ShelfSkewed は入念な調査の末、この記事は「器用かつ手間のかかった悪ふざけ」だという結論に達し、削除依頼に提出して削除された[2][4][5]

教訓

これらの事例をもって「ウィキペディアは信用できない」と言うのは簡単だ[6]。しかし実のところ、この種の悪ふざけはネット上の情報全般につきまとう問題であり[6]、ウィキペディアに対するコミットメントについて企業などを対象にコンサルタントをつとめる William Beutler は、この「ビコリム戦争」について Yahoo! News のインタビューでこう述べている。

それらしい情報源をでっち上げる位賢くて、もっともらしい記事を作るだけの時間と手間を惜しまないような人なら誰にでも、インターネット全体を欺くことは可能ですよ……少なくともしばらくの間は[7]

全言語を合わせるとウィキペディアには1000万以上の記事があり、それらから「上手く書かれた嘘」を見つけるのは至難の業だ[6]。そして、たとえ見つけてウィキペディア上から除去しても、コピーサイトによってそれらの嘘は長くネット上に残り続ける[6]。2010年8月時点の『ビコリム戦争』の記事がインターネット・アーカイブに保存されている[8]

脚注

  1. ^ a b “非実在のインドの戦争掲載=偽ページ5年間放置-ウィキペディア”. 時事ドットコム (時事通信社). (2013年1月8日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013010800882 2013年1月13日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h i Kevin Morris (2013年1月1日). After a half-decade, massive Wikipedia hoax finally exposed (英語). Daily Dot. 2013年1月9日閲覧。
  3. ^ :en:Wikipedia:Featured_article_candidates/Bicholim_conflict/archive1 秀逸な記事の審査の議事録(ウィキペディア英語版)、2013年1月10閲覧。
  4. ^ Hoax article on Wikipedia for 5 years (英語). UPI (2013年1月4日). 2013年1月9日閲覧。
  5. ^ :en:Wikipedia:Articles_for_deletion/Bicholim_conflict Bicholim conflictの削除審議記録(ウィキペディア英語版)、2013年1月10閲覧。
  6. ^ a b c d Betsy Isaacson (2013年1月8日). Wikipedia Hoax 'Bicholim Conflict' Deleted From Site (英語). Huffington Post. 2013年1月9日閲覧。
  7. ^ Eric Pfeiffer (2013年1月4日). War is over: Imaginary 'Bicholim Conflict' page removed from Wikipedia after five years (英語). Yahoo! News. 2013年1月9日閲覧。
  8. ^ Internet_Archives

「Bicholim conflict」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Bicholim conflict」の関連用語

Bicholim conflictのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Bicholim conflictのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのビコリム戦争 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS