BKT転移とは? わかりやすく解説

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ビーケーティー‐てんい【BKT転移】

読み方:びーけーてぃーてんい

Berezinskii-Kosterlitz-Thouless transition》⇒KT転移


ベレジンスキー=コステリッツ=サウレス転移

(BKT転移 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/02 07:15 UTC 版)

ベレジンスキー=コステリッツ=サウレス転移(ベレジンスキー=コステリッツ=サウレスてんい、BKT転移: Berezinskii-Kosterlitz-Thouless transition)、または、コステリッツ=サウレス転移KT転移)とは、統計力学の2次元XY模型において起こる相転移である。1971年にヴァディム・ベレジンスキー英語版[1][2]、1973年にジョン・M・コステリッツデイヴィッド・J・サウレス[3]によって理論的に提案され、1978年にヘリウム4の超流動薄膜において実験的に観測された[4]

概要

通常の相転移は、低温相では長距離秩序が存在し、温度上昇に伴い秩序が壊れて無秩序相へと移行する。対称性の言葉で言えば、低温相では系の持つ対称性が自発的に破れており、高温相では対称性が回復している。統計力学において相転移現象を記述するために用いられる模型の一つであるXY模型の場合、3次元空間においては通常の二次相転移が起こる。しかし、2次元空間においては、マーミン=ワグナーの定理から、対称性が自発的に破れず、長距離秩序を持つ相は存在し得ないことが示されている。空間の次元が低くなるとゆらぎが大きくなり、秩序相が不安定となって相転移が起こらなくなるというのは一般的に知られている性質であり、例えば、2次元イジング模型や3次元ハイゼンベルク模型は二次相転移を起こすが、1次元イジング模型や2次元ハイゼンベルク模型は相転移を起こさない。しかし、これらとは異なる特殊な例として、2次元XY模型は低温相において通常の長距離秩序を持たない代わりに、特殊な秩序を持つことで相転移を起こす。これが、ベレジンスキー=コステリッツ=サウレス転移と呼ばれる相転移である。

一般的な相転移では、低温相における相関関数は一定の値を持つが、BKT転移の場合には距離に対してべき的に減衰する。このような減衰は本来は臨界点において起こるはずの挙動である。つまりこれは、BKT転移の転移温度以下の低温相においては、有限の温度領域に渡って臨界点としての状態が続いていることを意味している。この状態の秩序は準長距離秩序 (quasi long range order) と呼ばれる。

BKT転移は、実験的には、ヘリウム4の超流動薄膜[4]、2次元超伝導体[5]ジョセフソン接合[6]、冷却原子気体のボース=アインシュタイン凝縮[7]などにおいて観測されている。

準長距離秩序

2次元XY模型ハミルトニアン



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