2010年フィルエアL-410墜落事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/06 11:22 UTC 版)
![]() 墜落現場 | |
事故の概要 | |
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日付 | 2010年8月25日 |
概要 | 最終進入における制御の喪失 |
現場 |
![]() 南緯3度18分40秒 東経17度22分24秒 / 南緯3.31111度 東経17.37333度座標: 南緯3度18分40秒 東経17度22分24秒 / 南緯3.31111度 東経17.37333度 |
乗客数 | 18 |
乗員数 | 3 |
負傷者数 | 1 |
死者数 | 20 |
生存者数 | 1 |
機種 | Let L-410UVP-E20C |
運用者 |
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機体記号 | 9Q-CCN |
出発地 |
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第1経由地 |
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第2経由地 |
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第3経由地 |
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最終経由地 |
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目的地 |
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2010年フィルエアL-410墜落事故(2010ねんフィルエアL-410ついらくじこ)は、2010年8月25日にコンゴ民主共和国で発生した航空事故である[1]。ンドロ空港から複数の空港を経由する国内定期旅客便だったフィルエアのLet L-410UVP-E20Cがバンドゥンドゥ空港への最終進入中に墜落し、乗員乗客21人中20人が死亡した[2][1][3]。
事故原因は乗客の1人が密輸目的で隠し持っていたクロコダイルが逃げ出したため、乗客がパニックに陥り、機体のバランスが失われたためだとされた[4][3]。
事故機

事故機のLet L-410UVP-E20C(9Q-CCN)は1991年に製造番号912608として製造された機体で[5]、最大19人の乗客が搭乗できた[6]。事故機はフィルエアに納入される以前はエストニアの航空会社であるAirestによって運用されていた[7]。
事故の経緯
当該便はンドロ空港からバサンゴ・ムボリアサ空港、ボコロ空港、セメンドワ空港、バンドゥンドゥ空港を経由してンドロ空港に戻るという国内定期旅客便だった。乗客は全員がコンゴ人であった。乗員は3人で、客室乗務員はコンゴ人だった。機長は62歳のベルギー人で、副操縦士は39歳のイギリス人であった[6][8][9][10]。機長を務めたベルギー人男性はフィルエアの経営者でもあった[10][11]。現地時間13時頃、バンドゥンドゥ空港への最終進入中に滑走路から1 kmほど手前の住宅街に墜落し、空き家に激突した[1]。墜落により乗員乗客21人中20人が死亡した[8][12]。事故の衝撃により火災が発生しなかったことなどから、当初は燃料切れが原因と示唆された[13]。
事故調査

コンゴの運輸省が事故調査を行った[8]。事故の唯一の生存者は乗客がダッフルバッグに隠し持っていたクロコダイルが着陸直前に逃げ出したため、パニックが起きたと述べた[3]。このクロコダイルは、バンドゥンドゥの市場でブッシュミートとして売るために持ち込まれたと推測されている[14][3]。客室乗務員がコックピットに逃げ、乗客も続いて機体前方に殺到した。これにより、機体の重心が前方に寄ってしまい、機体の制御が失われた[4][3]。なお、パニックを引き起こしたクロコダイルは現場にて無傷の状態で発見されたが、救急隊員がマチェテで殺害した[14][9][3]。
事故後
事故後、エデン・ブックス(Eden Books)は「Das Krokodil im Flugzeug」という本を出版した。この本は旅行中の奇妙な死についてまとめたもので、フィルエアの事故も取り扱われた他、表紙もこの事故を表したものとなっている[15]。
脚注
- ^ a b c 「コンゴで旅客機が墜落、燃料不足が原因の可能性」『読売新聞』読売新聞社、2010年8月25日。オリジナルの2010年8月29日時点におけるアーカイブ。2025年5月4日閲覧。
- ^ Hradecky, Simon. “Crash: Filair L410 at Bandundu on Aug 25th 2010, impacted building”
- ^ a b c d e f 「コンゴの小型機墜落、原因は密輸ワニか 英紙報道」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2010年10月23日。オリジナルの2025年5月5日時点におけるアーカイブ。2020年9月20日閲覧。
- ^ a b “Aircraft crashes after crocodile on board escapes and sparks panic”. The Telegraph (2010年10月21日). 2010年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年10月22日閲覧。
- ^ “ASN Aircraft accident Let L-410UVP-E20C 9Q-CCN Bandundu Airport”. Aviation Safety Network. 2015年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月25日閲覧。
- ^ a b “DR Congo air crash 'kills many'”. Al Jazeera English (2010年8月25日). 2010年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月26日閲覧。
- ^ “News from the World of L410”. Planes.cz. 2010年9月18日閲覧。
- ^ a b c “DR Congo plane crash in Bandundu 'kills 20'”. BBC News Online. (2010年8月25日). オリジナルの2010年8月25日時点におけるアーカイブ。 2010年8月25日閲覧。
- ^ a b “Crocodile blamed for Congo air crash”. NBC News (2010年10月22日). 2020年9月20日閲覧。
- ^ a b “Plane Crashes After Crocodile Escapes, Causes Panic” 2020年9月20日閲覧。
- ^ 「旅客機内にワニ…パニックでバランス失い墜落・20人死亡=コンゴ」『ライブドアニュース』2010年10月22日。2020年9月20日閲覧。
- ^ “Dix-neuf morts dans un accident d’avion dans l’ouest de la RDC” (French). Le Soir. 2010年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月25日閲覧。
- ^ “Plane crashes in DRCongo, 20 dead: deputy governor”. Agence France-Presse (2010年8月25日). 2010年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月27日閲覧。
- ^ a b “CRASH OF A LET 410 IN BANDUNDU: 20 KILLED”. Bureau of Aircraft Accidents Archives (2010年8月25日). 2019年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月20日閲覧。
- ^ Nicolas Bogislav von Lettow-Vorbeck: Das Krokodil im Flugzeug: Skurrile Todesfälle auf Reisen. Eden Books, 2019, ISBN 978-3-95910-191-2.
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