黒・手とは? わかりやすく解説

黒手

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/07/11 08:27 UTC 版)

参考:速水春暁斎画『絵本小夜時雨』巻五より「播州士異獣を斬」[1]

黒手(くろて)は能登(現在の石川県)戸板村に現れたとされる妖怪。浅香山井による江戸時代の随筆『四不語録』6巻「黒手切り」(くろてぎり)に記述がある。

概要

慶長年間のこと。笠松甚五兵衛という村人の家で、甚五兵衛の妻が便所に入ると何者かに尻を撫でられるという怪異が起きた。甚五兵衛は狐狸の仕業かと思い、を用意して便所に入ると、毛むくじゃらの手が出てきたため、これを刀で切り落とした。

そして数日後、妖怪が3人組の僧に化けて手を取り返しに来た。僧の正体を知らない甚五兵衛は、自宅に怪しい相があるといわれ、件の手を見せた。手を受け取った僧の1人が「これは人家の便所に住み着く黒手という物だ」と言った。さらに別の僧が手を受け取り「これはお前に斬られた我が手だ!」と叫び、九尺(約2.7メートル)もの丈のある正体を現し、手を奪って3人もろとも消え去った。

後日、甚五兵衛が夕方遅くに家への帰り道を歩いていたところ、突然空から衾のようなものが降りてきて彼を包み込み、6~7尺(約1.8~2.1メートル)も宙に持ち上げ、下に落とした。気づいたときには甚五兵衛の懐から、黒手を斬った刀が奪われていたという[2]

漫画家・水木しげるはこの妖怪を三本指で人間くらいの大きさの猿のような姿で描いている[3]。ただしこの絵の元となったのは江戸時代の古書『絵本小夜時雨』巻五にある播州の奇談「播州士異獣を斬」であり、黒手とは異なる[1]

脚注

[ヘルプ]
  1. ^ a b 速水春暁斎画 『百鬼繚乱 - 江戸怪談・妖怪絵本集成』 国書刊行会2002年、170-171頁。ISBN 978-4-336-04447-1
  2. ^ 柴田宵曲編 『随筆辞典』第4巻、東京堂1961年、153-154頁。
  3. ^ 水木しげる 『妖怪大図鑑』 講談社〈講談社まんが百科〉、1994年、105頁。ISBN 978-4-06-259008-2

関連項目


黒手(くろて)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 06:38 UTC 版)

地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の記事における「黒手(くろて)」の解説

便所から手を出して人をおどかす妖怪悩んで物思いにふける人に襲い掛かる

※この「黒手(くろて)」の解説は、「地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の解説の一部です。
「黒手(くろて)」を含む「地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の記事については、「地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「黒・手」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「黒・手」の関連用語

黒・手のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



黒・手のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの黒手 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS