電位PH図とは? わかりやすく解説

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電位-pH図

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/16 02:26 UTC 版)

鉄のプールベ図[1]

電位-pH図(でんいピーエイチず、もしくは、でんいペーハーず)とは、水中における化学種(特に金属)の存在領域を電極電位pHの2次元座標上に図示したものである。1938年マルセル・プールベが発表した。プールベダイアグラム(Pourbaix Diagram)、プールベ図E-pH図とも呼ばれる。

電位-pH図は、熱力学的データ(平衡論)に基づいて計算して作成する。現在では、ほとんどの金属単体の電位-pH図が作成されている。また、一部の金属では、水だけでなく錯体を含む系の電位-pH図や、高温水での電位-pH図が作成されている。このような電位-pH図は、作成するための計算が複雑になる。

利用法

電位-pH図は、主に腐食防食工学で使用されるが、電析や電気めっき無電解めっきの分野でも利用される。

電位-pH図を読むと、ある金属の特定の電位とpHで

  1. 特定の酸化物または錯イオンを生成する
  2. 反応しない

かどうかが一目でわかる。しかし、平衡状態における図なので反応の速度の情報については載っていない。すなわち、腐食防食工学の観点で言えば、『電位-pH図を読むと金属の腐食挙動は分かるが、金属の腐食速度まではわからない。』となる。

鉄の電位-pH図

鉄の電位-pH図

代表例として、25℃の水中におけるの電位-pH図を挙げる。この図の横軸はpH、縦軸は水素電極基準の電圧が示されている。

ここでは、鉄化合物をFe、Fe2+、Fe3+、 Fe2O3、Fe3O4、HFeO2とし、 水の電気化学反応であるということから、H2O、H+、eが加えられる。

鉄の反応傾向

  1. 領域I(青の部分)は、不感域(安定域)と言い、鉄が安定な領域である。
  2. 領域II(赤の部分)は、腐食域と言い、鉄が腐食する。ここでは、Fe2+、Fe3+、HFeO2が安定であり、鉄が溶解する。
  3. 領域III(黄色の部分)は、不動態域と言い、鉄が不動態化する。つまり、鉄は初期に反応するが、反応生成物である不動態皮膜のためにこれ以上腐食が進まない。
  4. 『FeO42−?』の部分は、その領域ではFeO42−が生成するらしいと言われているが、詳しくはわかっていない。正確な電位もわかっていない。

以上のように、25℃の水中での鉄の腐食傾向は、電位とpHの両方の値がわかれば、『電位-pH図』を読むことによって判断できる。

なお、Clが存在すると、不動態域で孔食が起こり、鉄に孔があく。電位-pH図は、実際の環境で起る現象の全てを予測する事は出来ないが、金属の腐食反応を理解するための基本になる。

水の反応傾向

2本の破線a、bはの生成・分解に関わる2つの反応の電位を示す。破線aは、

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