鈍感型起爆管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/16 12:44 UTC 版)
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鈍感型起爆管(どんかんがたきばくかん、英: Insensitive Detonator, ID)は、宇宙機やロケットなどに用いられる火工品の一種で、電気信号を受けて作動し、導爆線や分離用火工品を安全かつ確実に起爆させる装置である。高周波、静電気、落雷、迷走電流などの外的要因に対して発火しにくい構造を有するため、「鈍感型」と呼ばれる。[1]
構成と作動
鈍感型起爆管(ID)は、以下の3要素で構成される:
- 電気信号を受け取る点火部(例:橋線素子)
- 微量の火薬を用いて燃焼を爆轟へと遷移(DDT)させる遷移部
- 爆轟を密閉型導爆線(Sealed Conduction Detonating Fuse、SCDF)などの伝爆要素へ伝達する出力部
作動の流れは「電気信号 → 点火 → 爆轟遷移(DDT)→ 出力伝爆」である。[1]
用語と位置づけ
日本の航空宇宙分野における「起爆管」という用語は、民間の非電気式雷管における「ショックチューブ(Shock Tube)」とは意味が異なる。IDは自らが爆轟を発生させる起爆装置であり、ショックチューブのように信号を伝達する中空管ではない。[2][3]
歴史
日本では1978年(昭和53年)頃より、H-Iロケットの火工品システムにおいて「伝爆信号伝達方式(ETA)」が採用され、IDとともにCDF、TBIが開発された。以降、H-IIAやM-Vなどの宇宙機でもIDが継続して使用されている。[4][1][5]
用途
特にSRBでは、鈍感型起爆管を一時的に取り外す運用により、貯蔵・移送時の安全性を確保している。[6]
安全性と規格
IDの「鈍感性」は、鈍感弾薬(Insensitive Munitions, IM)に類似した概念であり、不測の刺激(衝撃・火災・雷など)への耐性を持つよう設計される。国際的にはNATO STANAG 4439や米国MIL-STD-2105Dなどの評価指針が存在する。[7][8]
非電気式雷管(ショックチューブ)との違い
鉱山や土木工事で用いられるショックチューブは、内部に微量の火薬を塗布したプラスチック管であり、起爆装置から発せられる衝撃波を伝達して雷管を起爆する「非電気式起爆システム」の一部である。これは「信号伝達媒体」であり、爆轟を発生させる機能は持たない。[3][2][9]
対してIDは、電気入力から直接爆轟を生成し、起爆信号を伝爆体へと送り出す能動的装置である。
関連項目
脚注
- ^ a b c “衝撃試験ハンドブック(付録F)”. JAXA (2024年). 2025年10月7日閲覧。
- ^ a b “Detonator Shock Tubing”. Mecmesin. 2025年10月7日閲覧。
- ^ a b “非電気式起爆システム(ハイネル)”. ハイジェックス (2022年). 2025年10月7日閲覧。
- ^ “H-Iロケット打上げ30周年記念:火工品開発の思い出”. JAXA種子島宇宙センター (2016年). 2025年10月7日閲覧。
- ^ 三好仁 ほか「リニアシェイプトチャージの侵徹特性評価」『日本航空宇宙学会論文集』第53巻第616号、2005年、231–238頁。
- ^ “特則検討WG 第9回資料2-1”. 経済産業省 (2019年). 2025年10月7日閲覧。
- ^ “JSP520 Pt2 Vol.11 – Insensitive Munitions” (英語). UK MoD (2015年). 2025年10月7日閲覧。
- ^ “MIL-STD-2105D: Hazard Assessment Tests for Non-Nuclear Munitions” (英語). US DoD (2003年). 2025年10月7日閲覧。
- ^ “Shock Tube Systems Training” (英語). WorkSafeBC (2021年). 2025年10月7日閲覧。
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