菱川和翁とは? わかりやすく解説

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菱川和翁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/04 18:10 UTC 版)

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菱川 和翁(ひしかわ わおう、生没年不詳)とは、江戸時代浮世絵師

来歴

菱川を称し画風は典型的な菱川派のものであることから、菱川師宣の門人か菱川派に近い人物だったと見られ、師宣風の絵師の中では優れた力量と評される。本姓は桑原氏、名は不明。落款には「和応」という表記もあり、ほかに師薫、桑子師薫、和央、風養軒、艶屈と号す。かつて英一蝶の前名といわれていたこともあったが、現在ではそれは否定されている。作画期は元禄のころで肉筆画10点ほどが確認される。作のひとつ「美人物思い図」には遊印が捺されており、遊印は文人の使うものなので単なる絵師ではなく、それなりの出自教養のある人物だったと考えられる。

御仕置裁許帳』によれば、山田宗倫という人物が『百人男』という書を世に出そうとしたところ幕府より取締りを受け、宗倫は死罪、宗倫に関わった者4名も処罰されたが、本所の三文字屋屋敷又市店に住んでいた和翁がこれに連座し、元禄4年(1691年)10月22日に日本橋より五里四方追放となったという。『竜渓小説』(小宮山昌世著)では住んでいたのは本所ではなく本石町で、また追放ではなく死罪になったと記す。

作品

  • 「美人物思い図」 絹本着色 ニューオータニ美術館所蔵 ※「大和畫菱川陰子和應圖」の落款、「一顆無價珠」の遊印と印文不詳の二つの印あり
  • 「花下観桜図」 絹本着色 奈良県立美術館所蔵
  • 髪に香をたきしめる遊女」 絹本着色 ボストン美術館所蔵 ※「大倭畫 菱川和應圖」の落款、朱文円印と「師宣」の朱文方印あり
  • 花下遊楽図」 絹本着色 ボストン美術館所蔵 ※「和應圖薫」の落款、「陰徳陽報」の白文方印あり
  • 「見立久米仙人図」 絹本着色 ※「菱川散人 和翁圖」の落款、「和國」の朱文長方印と「師薫」の朱文方印あり。麻布美術工芸館旧蔵
  • 「秋園美人図」 絹本着色
  • 「武士と若衆」 紙本着色
  • 「蚊帳美人図」 絹本着色

参考文献

  • 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年 ※109頁
  • 楢崎宗重監修 『肉筆浮世絵第二巻 師宣』 集英社、1982年 ※52 - 53頁
  • 楢崎宗重編 『肉筆浮世絵Ⅰ(寛文~宝暦)』〈『日本の美術』248〉 至文堂、1987年 ※35頁
  • ニューオータニ美術館編 『幻の浮世絵美人たち -大谷コレクション肉筆浮世絵-』 ニューオータニ美術館、1991年 ※138頁
  • 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(6) 麻布美術工芸館』 講談社、1995年 ※204頁
  • 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(8) ニューオータニ美術館』 講談社、1995年 ※185 - 186頁
  • 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(9) 奈良県立美術館/京都府立総合資料館』 講談社 1996年




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