紅茶の違いのわかる婦人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 04:21 UTC 版)

統計学における実験計画法において、紅茶の違いのわかる婦人(こうちゃのちがいがわかるふじん、英語: lady tasting tea)は、ロナルド・フィッシャーによって考案され、彼の著書『実験計画法』(1935年)の中で報告された無作為化実験である[1]。本実験は帰無仮説(「実験の過程で、証明あるいは実証されることが決してないが、反証される可能性がある」仮説[2][3])の概念をフィッシャーが初めて説明したものである。
問題になっている婦人(ミュリエル・ブリストル)は、カップに紅茶とミルクのどちらを先に入れたかを飲んでみて見分けることが出来る、と主張したとされる。フィッシャーは彼女に、半数は紅茶を先、半数はミルクを先に入れて、ランダムに並べた8杯のミルクティーを与えることを提案した。すると、彼女が偶然のみによって特定の正答数を得る確率が何であるかを問うことができた。
フィッシャーの解説は長さは10ページ未満であり、用語、計算、および実験計画に関するその簡潔さと完全性で注目に値する[4]。この例はフィッシャーの人生で起きたある出来事を大まかに基にしている。使われた検定はフィッシャーの正確確率検定であった。
実験
本実験は、被験者にランダムに並べられた8杯の紅茶(4杯はミルクを注いた後に紅茶を注ぎ、4杯は紅茶を注いだ後にミルクを注ぐ)を与える。被験者はどちらか一方の方法で入れられた4つの杯を選ぶことを務め、好きなだけ直接それぞれのカップを比較してもよい。実験で用いられた手法は被験者に対して完全に開示されている。
帰無仮説は、被験者が紅茶を区別する能力を持たない、というものである。ネイマン・ピアソンの補題と異なり、フィッシャーのアプローチでは、対立仮説は存在しなかった[2]。
検定統計量は、任意の方法によって入れられた4つのカップの選択に成功した数の単純な総数である。帰無仮説が真であると仮定した時の、可能性のある成功数の分布は、組合せの数を使って計算することができる。組合せの式を使うと、
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