相転移の機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 01:06 UTC 版)
強誘電体は温度が上昇すると相転移し、自発分極が消滅して常誘電体となる。これはエネルギー的には以下のように考えられる。 自由エネルギーを G、分極を P とすると、 G = G 0 + 1 2 A 2 P 2 + 1 4 A 4 P 4 + 1 6 A 6 P 6 {\displaystyle G=G_{0}+{\frac {1}{2}}A_{2}P^{2}+{\frac {1}{4}}A_{4}P^{4}+{\frac {1}{6}}A_{6}P^{6}} A 2 = T − T c ϵ 0 C {\displaystyle A_{2}={\frac {T-T_{\mathrm {c} }}{\epsilon _{0}C}}} と表される。ここでAとCは係数である。また、P が偶数次の項しかないのは P と −P の自由エネルギーが等しい、すなわちエネルギー量は分極の向きによらない事を意味している。 上式からわかるように自由エネルギーが温度に依存する事が強誘電体の特徴であり、温度変化による相転移の原因にもなっている。キュリー温度 (Tc) 以下の強誘電相では、 ∂ G ∂ P = 0 {\displaystyle {\frac {\partial G}{\partial P}}=0} となる点、すなわち P S = ± ( − A 2 A 4 ) 1 / 2 {\displaystyle P_{S}=\pm \left(-{\frac {A_{2}}{A_{4}}}\right)^{1/2}} で右のグラフのようにエネルギーが極小となる。なお、P が十分に小さいため6次の項は無視している。このように分極が存在した方がエネルギー的に安定なため、自発分極が生じて強誘電体となる。 また、このグラフからわかるようにキュリー温度以上では P = 0、つまり分極がない方が安定なため物質は常誘電体になる。
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