異常磁気能率とは? わかりやすく解説

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異常磁気モーメント

(異常磁気能率 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/20 00:26 UTC 版)

異常磁気モーメント(いじょうじきモーメント、英語: magnetic moment anomaly)とは、粒子の固有磁気モーメントヴォルフガング・パウリにより予想された値からのずれである。異常磁気モーメントは記号 a で表され、例えば電子の異常磁気モーメントであれば ae のように、粒子の記号を添えて表される。 異常磁気モーメントは高次の量子補正の寄与として量子場理論に基づいて計算され、理論の検証に用いられている。特に電子の異常磁気モーメントでは電磁相互作用の寄与が支配的であり、量子電磁力学(QED)は非常に高い精度で検証されている。摂動論による計算ではファインマン図のループとして表される。

粒子の固有磁気モーメントは、その粒子のスピン角運動量と関係付けられ、この関係はg-因子として表される。パウリ方程式によれば、スピン 1/2 のフェルミ粒子g-因子が2であることが導かれるが、実際に観測される値とはごく僅かに異なる。この違いが異常磁気モーメントであり

フェルミ粒子の磁気モーメントの1ループ補正

電子の異常磁気モーメントは1948年にR. KuschとH. M. Foleyにより実験で発見された[1]。電子の異常磁気モーメントは物理定数の中でも極めて高い精度で測定されており、その値は

ニュートラリーノとスミューオンの1ループ補正(左)、及びチャージーノとミュー粒子のスニュートリノの1ループ補正(右)

超対称性が自然界で実現しているならば、ミュー粒子の異常磁気モーメントには補正が加わると考えられている。これはミュー粒子のファインマン図に、超対称粒子が関与する新たなループが加わるためである。これは標準模型を超える物理があらわれる現象の一例である。

理論計算の詳細

異常磁気モーメントに寄与する量子効果は、厳密には電磁相互作用だけでなく、弱い相互作用強い相互作用の寄与も含まれている。しかし、電子の異常磁気モーメントの場合、ウィークボソンハドロンの効果は非常に小さく、電磁相互作用だけを考えたとしてもかなりの精度で理論値と実験値が一致する。




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