用尽(ようじん)
特許権者から正当に購入した特許製品を、使用したり、再販売したりしても特許権侵害とならないことを説明する理論である。この理論によれば、当該特許製品については、特許権が用い尽くされたとして、正当購入者が転売をしても特許権侵害とならない旨を説明している。権利が用い尽くされたと考えるところから、用尽説と呼ばれている。また、用尽に代えて、消尽・消耗という言葉が用いられる場合もある。国境を越えた取引に対してこの理論を適用しようとするのが、国際的用尽説である。
なお、特許権だけでなく、実用新案権、商標権、意匠権についても、用尽理論が適用されるとするのが一般的である。ただし、映画の著作物に関する頒布権については、権利を認めた趣旨に鑑みて、用尽理論は適用されないという見解が多い。
用尽理論とは別に、正当に入手した製品を再販売等する行為の正当性を理論づける説がある。黙示の実施許諾説である。特許権者は、特許製品を販売するときに、それが使用され転売されることにつき、黙示の実施許諾を与えているとする説である。用尽説では、当該製品について特許権が用い尽くされたとされるのに対し、黙示の実施許諾説では、行為について許諾が為されていると見る点で大きく異なる。
ソフトウエア媒体特許における用尽理論の問題点については、ソフトウエア媒体特許と用尽理論を参照のこと。
消尽
(用尽 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/29 14:23 UTC 版)
知的財産法において、知的財産権の消尽(しょうじん、用尽(ようじん)、消耗、exhaustion)とは、ある物について権利者が知的財産権を一度行使することによって、その知的財産権がその物については目的を達成して尽き、権利者がもう一度知的財産権を行使することができない状態になることをいう。知的財産権の消尽を認めると、権利者が同一の物について知的財産権を行使することができるのは、一度きりとなる。知的財産権の消尽を説明して支持する理論を消尽理論または用尽理論という。
- ^ “実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約”. www.cric.or.jp. 2011年10月10日閲覧。
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