実対称行列の対角化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:08 UTC 版)
有限次元のスペクトル定理によれば、任意の実対称行列は直交行列によって対角化可能である。更に、実正方行列 A が対称であるのは D = Q T A Q {\displaystyle D=Q^{T}AQ} が実対角行列となる実直交行列 Q が存在するとき、かつそのときに限ることが知られている。従って、任意の対称行列は適当な正規直交基底に関する(同値の違いを除いて)対角行列である。言い換えれば、n 次実正方行列 A が対称となる必要十分条件は、A の固有ベクトルの全体が Rn の正規直交基底となることである。 任意の実対称行列は、複素行列と見てエルミートであり、従ってその全ての固有値は実数である(コーシー 1829)。実はこれら固有値は、その行列の対角化(上で述べた D)の成分であり、従って D は A によって(成分を並べる順番を除いて)一意に決定される。本質的に、実行列が対称であるという性質は複素行列がエルミートであるという性質に対応する。
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