固体酸形燃料電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/04 06:53 UTC 版)
固体酸形燃料電池(または酸素酸塩形燃料電池、英:Solid acid fuel cells(SAFCs))は電解質として固体酸材料を使用することを特徴とする燃料電池の一種である。固体高分子形燃料電池および固体酸化物燃料電池と同様に、それらは水素および酸素含有ガスの電気化学的変換から電気を抽出し、副生成物として水のみを残す。現在のSAFCシステムは、工業用グレードのプロパンおよびディーゼルなどの様々な異なる燃料から得られる水素ガスを使用する。それらは200〜300℃の温度で動作する。[1][2]
構造と原理
固体酸は、塩と酸との間の化学中間体、例えばCsHSO4である。[3] 燃料電池の用途で用いられる固体酸は、オキソアニオンである(SO42-, PO43−, SeO42−, AsO43−)。 水素結合及び電荷平衡によって結合した強い陽イオン (Cs+, Rb+, NH4+, K+)によって構成される。
低温において固体酸はほとんどの塩のように規則正しい分子構造を保っている。より高温(CsHSO4では140〜150℃ )では、内部で相転移を起こして非常に無秩序な「超プロトン」構造となるものがあり、これによって導電率が数桁増加する。[3]燃料電池に使用すると、この高い導電率により、さまざまな燃料に対して最大50%の効率が得られる。[4]
最初の実証用SAFCは、硫酸水素セシウム(CsHSO4)を使用して2000年に開発された。[1] しかしながら、電解質として酸性硫酸塩を使用する燃料電池は、燃料電池のアノードをひどく劣化させる副産物をもたらし、それはごくわずかな使用の後でも出力低下を招いた。[5]
現在のSAFCシステムは、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)を使用しており、数千時間の寿命を示している。.[6] 超プロトン相転移を起こす場合、のCsH2PO4は、 導電率が 4桁上昇する。[7][8][9] 2005年に、CsH2PO4は湿気のある大気中で250℃の「中間」温度で安定に超プロトン相転移を起こし、理想的な固体酸電解質となることが示された。燃料電池における湿った環境は、脱水および塩と水蒸気への解離からある種の固体酸(CsHなど)の発生する現象を防ぐために必要である。[10][11]
電極上の化学反応
水素ガスはアノードに導かれ、そこでプロトンと電子に分割される。プロトンは固体酸電解質を通過してカソードに到達し、電子は外部回路を通ってカソードに移動し、電気を発生させる。カソードでは、プロトンと電子が酸素とともに再結合して水を生成し、その水がシステムから除去される。
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アノード :
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