優秀環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 04:33 UTC 版)
可換環論の優秀環(ゆうしゅうかん、英: excellent ring)、またはエクセレント環とは、ネーターな可換環であって完備化の操作に関して振る舞いがよく、さらに強鎖状であるもののことをいう。また、強鎖状以外の条件を満たす環のことを準優秀環、または準エクセレント環という。優秀環は、数論や代数幾何学に現れるほとんどの環を含み、かつ振る舞いのよい自然な環のクラスを探求する中で生まれた。ネーター環がそのクラスだと考えられていた頃もあったようだが、一般のネーター環は必ずしも振る舞いがよくないことを示す奇妙な反例が永田雅宜らによって複数発見された。例えば、正規ネーター局所環は必ずしも解析的正規ではない。
優秀環のクラスは、振る舞いのよい環のクラスの候補としてアレクサンドル・グロタンディークによって1965年に定義された。準優秀環上では特異点解消問題を解くことができるだろうと予想されている。標数0の場合には広中平祐によってこれは示されている[1]が、正標数の場合は大きな未解決問題として残されている(2016年)。基本的には、代数幾何学や数論に自然に現れるネーター環はすべて優秀である。優秀ではないネーター環の例を構成するのはかなり難しい。
定義
優秀環の定義は非常に込み入っているため、まず優秀環の定義に必要な各種の技術的な条件を復習しなければならない。優秀環であるためには非常に多くの条件を満たす必要があるように見えるかもしれないが、実際にはほとんどの環は優秀である。例えば、体や多項式環、完備なネーター環、標数0のデデキント環(
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