人気のセ、実力のパ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/14 09:42 UTC 版)
人気のセ、実力のパ(にんきのセ、じつりょくのパ)は、日本のプロ野球において用いられていた言葉。
概要
巨人や阪神のような球団には歴史と伝統があり、親子代々のファンもいる。これに対してパ・リーグの球団は、球団側から動かなければ観客が集まらないという決定的な違いがあった[1]。セ・リーグの方が圧倒的に人気があり、これは長く続いていた[2]。オールスターゲームでのパ・リーグの強さは目を見張るものがあった[3]。パ・リーグの方が勝率が高かったためにこのように言われていた[4]。だがパ・リーグは依然強く、人気もパ・リーグの方が上かもしれないという時代となる[5]。
昭和のプロ野球ではこのように言われていた。このように言われていた象徴の1つに阪急ブレーブスがあった。当時の阪急には福本豊や山田久志などの選手が揃い、1971年から1985年までの15年間で7度リーグ優勝をして、1975年からは日本シリーズで3連覇していた[6]。
1990年代までは巨人戦が地上波で全国的に放送されていたのに対して、パ・リーグの球団は巨人と対戦する機会が無く認知度も低く球場には数えられるほどの観客しかいないという試合も珍しくなかった。だがこのことでパ・リーグの球団は反骨心を持ち、当時の西武は巨人よりも間違いなく強いという実力を持っていた。西武は1985年から1994年までで9回リーグ優勝をして6回日本一になったものの年間入場者数が200万人を超えたことはなかった。だが同じ頃のセ・リーグの球団は毎年のように200万人を超えて、巨人は350万人を超えていた[7]。
パ・リーグの球団は、スポーツビジネスとして観客動員数を向上させることを目指す。パ・リーグは、リーグ全体、業界全体で顧客を獲得して拡大していくべきとしていた。MLBは全球団の放映権を所持しているのに対して、日本は各球団が放映権を所持していた。そこでパ・リーグTVを開始してネット配信を拡充して、6球団が合同で行うイベントなども行ってきた。DAZNとも配信契約を結ぶ。これらのことでパシフィックリーグマーケティングの年間売り上げは30倍にもなった。観客動員数は年々過去最高の記録を更新する。そしてセ・リーグとの観客動員数の差は年々縮まり、人気のセ、実力のパという言葉はほとんど使われなくなる[1]。
脚注
- ^ a b “「人気のセ、実力のパ」からの挑戦。プロ野球ビジネスが迎える新時代。(鈴木忠平)”. Number Web - ナンバー. 2025年9月12日閲覧。
- ^ “「セ・リーグに対抗する意識はありません」6球団で力を合わせた施策でファンを拡大、パ・リーグ人気の立役者「パテレ」。運営会社の"戦略"の実態”. 東洋経済オンライン (2025年4月17日). 2025年9月12日閲覧。
- ^ drmonlineadmin (2011年8月1日). “人気のパ、実力のパ _流通・小売業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】”. 流通・小売業界で働く人の情報サイト_ダイヤモンド・チェーンストアオンライン. 2025年9月12日閲覧。
- ^ “野球のセ・リーグ、パ・リーグの違いとは?分け方や意味をご紹介!”. spojoba.com. 2025年9月12日閲覧。
- ^ “球界の盟主も今は昔か。「普通のチーム」化が進む読売巨人軍”. ダイヤモンド・オンライン (2011年6月14日). 2025年9月12日閲覧。
- ^ 鷲田康 (2023年1月26日). “『人気のセ、実力のパ』が野球殿堂入りにも影を落とす~バースとブーマーの得票を考えて~”. NumberPREMIER - ナンバープレミア. 2025年9月12日閲覧。
- ^ “「パ・リーグTV」澤村の雄叫び動画は355万再生、杉谷は100万再生連発 セ・リーグがうかうかしてると「人気もパ」に?”. AERA DIGITAL(アエラデジタル) (2025年4月2日). 2025年9月12日閲覧。
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