二次閉体とは? わかりやすく解説

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二次閉体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/23 02:01 UTC 版)

数学における二次拡大で閉じているまたは二次的に閉じている (quadratically closed; 二次閉) あるいは二次閉体(にじへいたい、: quadratically closed field)であるとは、その体の任意の元の平方根がその体の中でとれることを言う[1][2]

例と反例

  • 複素数体は二次閉体である。より一般に、任意の代数閉体は二次閉である。
  • 実数体は二次的に閉じていない。なんとなれば −1 の平方根は存在しない。
  • 任意の非負整数 n に亘る有限体 の合併は二次閉だが代数閉でない体の例となる[3]
  • 作図可能数体は二次閉だが代数閉でない[4]

性質

  • 体が二次閉となるための必要十分条件は普遍不変量英語版1 に等しいことである。
  • 任意の二次閉体はピタゴラス体英語版だが逆は成り立たない(例えば、実数体 R はピタゴラスである)。ただし、任意の非形式的実ピタゴラス体は二次閉である[2]
  • 体が二次閉となるための必要十分条件は、そのヴィット–グロタンディエック環英語版が次元写像により Z に同型となることである[3]
  • 形式的実ユークリッド体英語版 E は二次閉でない(−1E の平方元でない)が、二次拡大体 E(−1) は二次閉となる[4]
  • 有限次拡大 E/FE が二次閉となるとき、−1F の平方元かつ F が二次閉となるか、さもなくば −1F の非平方元かつ F はユークリッドである。この「下降」定理 ("going-down theorem") はディラー–ドレスの定理英語版から帰結することができる[5]

二次閉包

F二次閉包 (quadratic closure) とは F を含む二次閉体であって、かつ F を含む任意の二次閉体へ埋め込むことができるものを言う。かってな体 F に対して、その二次閉包は F の代数閉包 Falg の部分体として構成することができ、それは Falg における F から任意の二次拡大英語版を繰り返して得られる体(二次拡大の塔)すべての合併である[4]

  • 実数体 R の二次閉包は複素数体 C である[4]
  • 五元体 F5 の二次閉包は二次拡大塔 の合併である[4]
  • 有理数体 Q の二次閉包は作図可能数体である。

出典

  1. ^ Lam 2005, p. 33.
  2. ^ a b Rajwade 1993, p. 230.
  3. ^ a b Lam 2005, p. 34.
  4. ^ a b c d e Lam 2005, p. 220.
  5. ^ Lam 2005, p. 270.

参考文献

外部リンク




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