ロンスキー行列式と線型独立性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/12 16:14 UTC 版)
「ロンスキー行列式」の記事における「ロンスキー行列式と線型独立性」の解説
函数族 fi が線型従属ならば、ロンスキー行列式の列もそうなるから、微分作用素の線型性によってロンスキー行列式は消える。故にロンスキー行列式は、ロンスキー行列式が恒等的に消えないことを見ることによって、可微分函数の集合がある区間上で線型独立であることを示すのに利用できる。 よくある間違いに、至る所 W = 0 なることから線型従属性が従うと考えることが挙げられるが、Peano (1889) は函数 x2 および |x|x が連続な導函数を持ちロンスキー行列式が至る所で消えるにもかかわらず、これらが 0 の任意の近傍において線型従属でないことを指摘している。つまり、線型従属性を保証するためにはロンスキー行列式が区間上で消えるだけでは十分でなくて,なんらかの追加の条件が必要である。そのような条件の例はいくつか存在する。例えば Peano (1889) では、函数が解析的ならばよいことが述べられる。また Bochner (1901) には他にもいくつかの条件が提示されていて、例えば n 個の函数のロンスキー行列式が恒等的に消えていて、かつそれらの函数から n − 1 個を選んでできる n 個のロンスキー行列式のすべてが同時に消える点がどこにもなければ、それらの函数は線型従属である。Wolsson (1989a) はより一般の条件のもとで、ロンスキー行列式が消えることから線型従属性が得られることを示している。
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