レンフェ599系気動車とは? わかりやすく解説

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レンフェ599系気動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/25 08:59 UTC 版)

レンフェ599系気動車
599系(2014年撮影)
基本情報
所有者 レンフェ
製造所 CAF
製造年 2008年 - 2010年
製造数 50編成(3両編成50本)
運用開始 2009年
主要諸元
編成 3両編成(M1 + R + M2)
軸配置 (1A)'(A1)' + 2'2' + (1A)'(A1)'
軌間 1,668 mm
最高運転速度 160 km/h
減速度(常用) 1.1 m/s2
減速度(非常) 1.1 m/s2
編成定員 184人+車椅子スペース1人分
車両定員 M1車 68人
M2車 64人
R車 52人+車椅子スペース1人分
車両重量 M1車 54.0t
M2車 56.0 t
R車 48.0 t
積車重量 174,0 t
編成重量 158.0 t
編成長 75,980 mm
全長 M1・M2車 25,850 mm
R車 24,280mm
全幅 2,940 mm
全高 4,302 mm
床面高さ 高床部分 1,300 mm
低床部分 790 mm
車輪径 890 mm
台車中心間距離 M1、M2車 17,734mm
R車 18,000mm
軸重 13.1 t
機関 MAN D2876 LUE 623
機関出力 382 kW
変速機 T22 re.4
出力 764 kW
編成出力 1,528 kW
制動装置 電空併用ブレーキ、ディスクブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4]に基づく。
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レンフェ599系気動車(レンフェ599けいきどうしゃ)は、スペインの国有鉄道であるレンフェが所有する気動車。中距離列車「メディア・ディスタンシアスペイン語版」向けの車両で、2009年から営業運転を開始した[1][2][5][4]

概要

レンフェが運営する中距離列車「メディア・ディスタンシア」向けに開発された気動車で、2004年以降同列車に使用されている598系の改良型車両と位置付けられている。編成は3両編成で、運転台を備えた動力制御車(M1、M2車)と付随車(R車)によって構成される。そのうち付随車(R車)は中央部分が床上高さ790 mmの低床構造になっており、その部分には収納式スロープ付きの乗降扉やバリアフリーに対応したトイレや飲食物を販売する自動販売機、自転車用ラックが設置されている。また、全車とも車内には情報案内装置としてスクリーンが、安全対策として監視カメラが設置されている。座席は2 + 2人掛けを基本としたクロスシートで、各座席には読書灯や充電用コンセントが完備されている他、冷暖房双方に対応した空調装置や床暖房も設置されている[1][3][6][7]

動力源となるディーゼルエンジンMAN製(D2876 LUE 623、水冷式)で、油圧式変速機やカルダンシャフトを介して動力が伝達される。車内照明や乗降扉の可動、空調に用いられる電力を供給するドイツ(Deutz)製のエンジン(BF6 M1013 FC、出力183 kW)およびこれを用いた発電機は屋根上に設置されており、予備を含めて2基搭載する事で緊急時の冗長性を確保している。これらを含めた車両の機器やブレーキ回路の制御や管理は、CAFが開発した「COSMOS」システムによりTCN型コンピュータネットワークを介して行われる。前面下部にはシャルフェンベルク式自動連結器が設置されており[注釈 1]、最大3編成まで総括制御による連結運転が可能である[1][2][9][10][11][8][12]

599系は安全性の向上も図られており、万が一の火災発生に備えて火災検知器が各所に設置されている他、耐火性を備えた内装材を用いており、緊急時には車両間の貫通扉が防火壁として機能する。加えて、ディーゼルエンジンや燃料タンクで出火が起きた際、自動的に消化する泡消火システムも搭載されている。一方、事故発生時の安全性も配慮されており、前面にはクラッシャブルゾーンが設けられている他、前面窓も最高速度350 km/hで1 kgの物体が衝突しても耐えられる構造になっている[9]

2008年から製造が始まり、2009年7月から営業運転を開始した。2025年現在は50編成(3両編成50本)が在籍する。設計上、CAFが開発した軌間可変台車「BRAVA」を搭載する事も可能だが、同年現在はイベリア軌間軌間1,676 mm)のみに対応している[1][2][5][6][4]

脚注

注釈

  1. ^ 連結器の床上高さは1,040 mmで、従来の車両と同じ高さになっている一方、「メディア・ディスタンシア」で使用されている一部気動車(594形、598形)とは高さが異なるため連結が出来ない[8]

出典

  1. ^ a b c d e S-599 Diesel railcar”. Renfe. 2025年7月25日閲覧。
  2. ^ a b c d TREN REGIONAL TDMD S/599”. CAF. 2012年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月25日閲覧。
  3. ^ a b MD/InterCity”. ヨーロッパ鉄道チケットセンター. 2025年7月25日閲覧。
  4. ^ a b c Juan Carlos Casas 2009, p. 4.
  5. ^ a b Juan Carlos Casas 2008, p. 4.
  6. ^ a b Juan Carlos Casas 2008, p. 5.
  7. ^ Juan Carlos Casas 2008, p. 10.
  8. ^ a b Juan Carlos Casas 2008, p. 13.
  9. ^ a b Juan Carlos Casas 2008, p. 6.
  10. ^ Juan Carlos Casas 2008, p. 8.
  11. ^ Juan Carlos Casas 2008, p. 12.
  12. ^ Juan Carlos Casas 2008, p. 14.

参考資料

Juan Carlos Casas (Noviembre 2008). “CAF finalizó la fabricación de las primeras composiciones”. Via Libre: 4-14. https://vialibre-ffe.com/pdf/11642_pdf_05.pdf 2025年7月25日閲覧。.  Juan Carlos Casas (Septiembre 2009). “Se inauguró en las relaciones Madrid-Salamanca y Madrid-Jaén MD+, nuevo producto de Renfe con la puesta en servicio de los trenes 599 y 449”. Via Libre: 4-11. https://vialibre-ffe.com/pdf/7520_599_449.pdf 2025年7月25日閲覧。. 




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