モール-マスケローニの定理とは? わかりやすく解説

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モール-マスケローニの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/04/29 15:20 UTC 版)

数学において、モール-マスケローニの定理(モール-マスケローニのていり、英:Mohr–Mascheroni theorem)とは、定規コンパスで作図可能な任意の幾何学的作図問題は、コンパスのみでも可能であることを述べるものである。この結果は、最初、ゲオルグ・モール英語版が1672年に発表したが[1]、その証明は1928年になるまで忘れ去られていた[2][3]。この定理は、ロレンツォ・マスケローニ英語版が1797年に独立して発見した[4]

概要

18 世紀に、イタリアの幾何学者・詩人のマスケローニ(1750~1800)は、与えられた条件と要件が点で表される限り、任意のユークリッド幾何の作図は、コンパスのみで作図可能であるという驚くべき事実を発見した。当然ながら、直線はコンパスで描くことができないが、ユークリッド幾何で作図可能な直線は、コンパスでその直線上の二点を指定することにより、決定できる。

この発見は、1797 年にマスケローニが著した Geometria del compasso に発表された。1890 年、ヴィーンの幾何学者アウグスト・アドラー(August Adler、1873~1950)は、新しい証明を公表した。

ところが、驚くべき事態が起こった。その直ぐ後、1928 年に、デンマークの Johannes Hjelmslev(1873~1950)は、コペンハーゲンの書店で、モールが1672年に著した Euclides Danicus に遭遇した。Hjelmslev がこの本を調べたところ、異なる解によるマスケローニの発見が含まれていることが判明したのである。

モールとマスケローニの証明は、かなり複雑であるが、20 世紀後半にはさらに簡明な証明が幾つか発見された。

定規とコンパスで可能な作図において、すべての新しい点は、

  1. 二つの円の交点
  2. 円と直線の交点
  3. 二つの直線の交点

のいずれかであり、作図は、これらの有限回の過程から成り立つ。

二つの円の交点は、明らかにコンパスのみで作図可能であるが、同定理は、二番目と三番目もコンパスのみで作図できることを証明することにより、定規とコンパスで可能な任意の作図問題が、コンパスのみで作図できることを示すものである。

参考

脚注

  1. ^ Georg Mohr, Euclides Danicus (Amsterdam: Jacob van Velsen, 1672)
  2. ^ Hjelmslev, J (1928) Om et af den danske matematiker Georg Mohrudgivet skrift Euclides Danicus, udkommet i Amsterdam i 1672, Matematisk Tidsskrift B , pages 1-7
  3. ^ Schogt, J H (1938) Om Georg Mohr's Euclides Danicus, Matematisk Tidsskrift A , pages 34-36
  4. ^ Lorenzo Mascheroni, La Geometria del Compasso (Pavia: Pietro Galeazzi, 1797)

外部リンク


モール–マスケローニの定理

(モール-マスケローニの定理 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 14:48 UTC 版)

数学において、モール–マスケローニの定理(モール–マスケローニのていり、英:Mohr–Mascheroni theorem)とは、定規コンパスで作図可能な任意の幾何学的作図問題は、コンパスのみでも可能であることを述べるものである。この定理はゲオルグ・モール英語版1672年に彼の著書の中で発表したが[1]、その証明は1928年になるまで忘れ去られていた[2][3]。この定理は、ロレンツォ・マスケローニ1797年に独立して発見した[4]

概要

18 世紀、イタリアの数学者であったマスケローニは、与えられた条件と要件が点で表される限り、任意のユークリッド幾何の作図はコンパスのみで作図可能であるという事実を発見した。当然ながら、直線はコンパスで描くことができないが、ユークリッド幾何で作図可能な直線はコンパスでその直線上の二点を指定することにより決定できる。

この定理は1797年にマスケローニが著した『コンパスによる幾何学』の中で発表された。また、1890年には幾何学者アウグスト・アドラー英語版チェコ語版が、新たな証明を公表している。1928年にはデンマークヨハネス・イェルムスレウ英語版が、コペンハーゲンの書店で、モールが1672年に著した『ダキア人エウクレイデス』を見つけた。イェルムスレウがこの本を調べたところ、異なる手法でマスケローニによる定理の証明が含まれていることが判明した。

モールとマスケローニの証明は複雑であったが、20世紀後半にはより簡明な証明が幾つか発見された。

定規とコンパスで可能な作図において、すべての新しい点は、

  1. 二つの円の交点
  2. 円と直線の交点
  3. 二つの直線の交点

のいずれかであり、作図はこれらの有限回の過程から成り立つ。

二つの円の交点は、明らかにコンパスのみで作図可能であるが、同定理は、2番目と3番目の場合もコンパスのみで作図できることを証明することにより、定規とコンパスで可能な任意の作図問題が、コンパスのみで作図できることを示した。

参考

脚注

  1. ^ Georg Mohr, Euclides Danicus (Amsterdam: Jacob van Velsen, 1672)
  2. ^ Hjelmslev, J (1928) Om et af den danske matematiker Georg Mohrudgivet skrift Euclides Danicus, udkommet i Amsterdam i 1672, Matematisk Tidsskrift B , pages 1-7
  3. ^ Schogt, J H (1938) Om Georg Mohr's Euclides Danicus, Matematisk Tidsskrift A , pages 34-36
  4. ^ Lorenzo Mascheroni, La Geometria del Compasso (Pavia: Pietro Galeazzi, 1797)

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