ムルタザーとは? わかりやすく解説

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ムルタザー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 10:00 UTC 版)

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ムルタザー
ئمرتضی
キン・テムル家

出生 不詳
死去 不詳
子女 アク・クベク
父親 アフマド
宗教 イスラム教スンナ派
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ムルタザーペルシア語: ئمرتضی, ラテン文字転写: Murtaza, 生没年不詳)は、大オルダの王族。

生涯

アフマドの長男。1480年ウグラ河畔の対峙後にアフマドが撤退すると、ムルタザーはルーシの地(現在のウクライナ)を襲撃し、コニンロシア語版ユコボロシア語版を占領して支配下に置こうとしたが、モスクワアンドレイ・ボルショイ英語版アンドレイ・メンシイロシア語版が軍を向けてきたため、ステップ地帯に撤退した[1]

1481年にアフマドがシビル・ハン国イバク英語版に殺害される[1]と、君主位を巡ってそれぞれの支持者に擁立された弟のサイイド・アフマドカタルーニャ語版シャイフ・アフマドたちとの間で争いが始まった[2][3]1484年ポーランドカジミェシュ4世に書状を出して、大オルダによるポーランド領内への被害を防ぐことを約束している[4]。争いの結果シャイフ・アフマドが勝利し、ムルタザーはベクリャリ=ベクであったティムール・マンギトロシア語版の手引きを受けて、サイイド・アフマドと共にクリミアに亡命した[5]が、メングリ1世からは半ば捕虜のように扱われた。

1485年にムルタザーとサイイド・アフマドはクリミアからの脱出を画策し、サイイド・アフマドとティムール・マンギトはキプチャク草原への逃亡に成功した。しかしムルタザーは失敗して捕えられ、カッファに投獄された。すぐ後に草原で政権を握ったサイイド・アフマドはクリミアを攻撃し、ムルタザーは救出された[5]

帰還したムルタザーもハンを称し、キプチャク草原に兄弟3人が並び立つ状況になったが互いの衝突には至らなかった。1486年、ムルタザーはメングリ1世を打倒するためにモスクワのイヴァン3世ヌール・デヴレト英語版(メングリ1世の兄)の助力を得ようとして、シャー=バフルールを使者として書状を送った[6][7]が、イヴァン3世は当時同盟国だったクリミアと事を構えるのを良しとせず、かえってムルタザーを牽制するために南の国境近くにヌール・デヴレト率いる軍を差し向けた。モスクワから助力を得られず失敗したムルタザーの権威は大きく失墜することとなった。

1493年ノガイ・オルダとの関係を改善するために、シャイフ・アフマドがノガイのミルザだったムサロシア語版の娘と婚姻すると、それに反発した貴族たちによってシャイフ・アフマドは追放され、ムルタザーが擁立された。しかし1494年6月にシャイフ・アフマドが復帰すると、ムルタザーはベクリャリ=ベクのハジクと共にチェルケス人のいたテレク川に逃亡した。

1502年にメングリ1世に敗北したシャイフ・アフマドが亡命先のリトアニアで捕虜になると、ジョチ・ウルスの復活を望むノガイ族たちはリトアニア大公ジーギマンタス2世にシャイフ・アフマドの解放を度々訴えたが、それと並行してムルタザーに君主位につくように求めた。ムルタザーはこれを拒否して、シャイフ・アフマドからカルガカタルーニャ語版に任じられていた弟のハジ=アフマドロシア語版を次の君主に指名した。1514年秋、テレク川においてハジ=アフマドはムルタザーやノガイ族たちの前で即位した。

出典

  1. ^ a b Howorth 2008, p. 326
  2. ^ Howorth 2008, p. 327
  3. ^ Kolodziejczyk 2011, p. 670
  4. ^ Trepavlov 2018
  5. ^ a b Howorth 2008, p. 329
  6. ^ Howorth 2008, p. 331
  7. ^ Muslu 2014, p. 140

参考資料




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