ポールケの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/02 14:57 UTC 版)
ポールケの定理[1][注釈 1](ポールケのていり、英: Pohlke's theorem、独: Satz von Pohlke)は、軸測投影の基礎的な結果である。1853年にドイツの図法幾何学教師カール・ヴィルヘルム・ポールケによって発見された。1864年、ポールケの学生のドイツの数学者ヘルマン・シュヴァルツによって最初の証明が与えられたことからポールケ・シュワルツの定理[1](theorem of Pohlke and Schwarz、Pohlke-Schwarz's theorem)とも呼ばれる。
主張

単位立方体の射影においては、空間または平面上で拡大縮小の操作が必要となる。平行射影および拡大縮小の操作の際、辺の比は保存されているため、下に挙げるように軸測投影によって任意の点を射影像として得ることができる。
線型代数学の言葉でポールケの定理を述べることができる。
軸測射影への応用

ポールケの定理は座標系を用いて3次元の対象の相似平行射影を構成するための、次に説明する手順を正当化するものである[2][3]。
- 各座標軸が点へ縮退しないように座標軸を見る角度を設定する。
- 各座標軸を長さがvx, vy, vz > 0となるまで短縮する。
- 空間のP = (x, y, z)の像となる点Pは、点Oからスタートしてこの手順で決定される。
-
- Oをx軸方向へvx・x 、y軸方向へvy・y、z軸方向へvz・z移動する。
- 4. 移動後の点がPと一致する。
歪みのない画像を得るためには、軸の取り方とその短縮を慎重に行う必要がある。直投影を得るには軸の取り方は厭われないが、軸の短縮方法は一定となる。
シュヴァルツによる証明
シュヴァルツはより一般的な主張を定式化・証明した。
証明にはリュイリエの定理を用いた。
- 任意の三角形は、一定に形の定められた三角形の直射影として得ることができる。
脚注
注釈
- ^ Pohlkeはポルケとも。
出典
- ^ a b 小高, 司郎『現代図学』森北出版、1979年5月。NDLJP:12622288。
- ^ Ulrich Graf, Martin Barner: Darstellende Geometrie. Quelle & Meyer, Heidelberg 1961, ISBN 3-494-00488-9, p.144.
- ^ Roland Stärk: Darstellende Geometrie, Schöningh, 1978, ISBN 3-506-37443-5, p.156.
- ^ Sklenáriková, Zita; Pémová, Marta (2007). “The Pohlke–Schwarz Theorem and its Relevancy in the Didactics of Mathematics”. Quaderni di Ricerca in Didattica (G.R.I.M. (Department of Mathematics, University of Palermo, Italy)) (17): 155 .
参考文献
- Schwarz, H. A. (1864). “Elementarer Beweis des Pohlkeschen Fundamentalsatzes der Axonometrie”. J. reine angew. Math. 63: 309–314.
- K., Pohlke (1876). Zehn Tafeln zur darstellenden Geometrie. Berlin: Gaertner-Verlag
- Arnold Emch (1918-10). “Proof of Pohlke's Theorem and Its Generalizations by Affinity”. American Journal of Mathematics 40 (4): 366-374 .
- 小高, 司郎「随想: ポールケの定理とポールケーシュワルツの定理」『図学研究』第5巻第2号、1971年、40–41頁、doi:10.5989/jsgs.5.2_40。
- 小高, 直樹「ポールケの定理における斜軸測図」『図学研究』第26巻Supplement、1992年、13–18頁、doi:10.5989/jsgs.26.Supplement_13。
- Klein, F. (2016). “The fundamental Theorem of Pohlke”. Elementary Mathematics from a Higher Standpoint. 2. Springer. p. 97. ISBN 978-3-662-49442-4
- 井村, 俊一「透視図法の歴史についての一考察」『金沢美術工芸大学紀要』第54号、2010年3月31日、73–83頁。
- 宮崎, 興二、小高, 直樹「斜軸測投象」『図形科学』朝倉書店、2011年1月15日。 ISBN 978-4-254-20141-3。
- Christoph J. Scriba; Peter Schreiber (2015). 5000 Years of Geometry: Mathematics in History and Culture. Springer. p. 398. ISBN 978-3-0348-0898-9
- Renato Manfrin (2018). “A Proof of Pohlke's Theorem with an Analytic Determination of the Reference Trihedron”. Journal for Geometry and Graphics 22 (2): 192-205 .
外部リンク
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