ポワンカレの上半平面モデルとは? わかりやすく解説

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ポワンカレの上半平面モデル

(ポワンカレの上半平面模型 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/04 22:10 UTC 版)

半平面模型の星型正七角形による敷詰

非ユークリッド幾何学におけるポワンカレ半平面模型(はんへいめんもけい、: Poincaré half-plane model)は、上半平面(以下 H と記す)にポワンカレ計量と呼ばれる計量をあわせて考えたもので、二次元双曲幾何学モデルを形成する。

名称はアンリ・ポアンカレに因むものだが、そもそもはベルトラミが、クライン模型・(リーマンによる)ポワンカレ円板模型とともに、双曲幾何学がユークリッド幾何学に無矛盾等価英語版であることを示すために用いたものである。円板模型と半平面模型とは共形写像のもとで同型である。

対称性の群

射影線型群 PGL(2,C) はリーマン球面に一次分数変換で作用する。この群の部分群で上半平面 HH 自身の上に移すものは、すべての係数が実数であるような変換全体の成す群 PSL(2, R) で、その作用は上半平面上推移的かつ等距ゆえ、上半平面はこの作用に関する等質空間となる。

上半平面に一次分数変換で作用し、かつその双曲距離を保つリー群としては、近しい関係にあるものが4つ存在する。

  • 特殊線型群 SL(2, R): 成分が実数の 2 × 2-行列でその行列式が 1 であるもの全体の成す群。多くの文献で、実際には PSL(2, R) を意味するところをしばしば SL(2, R) と言っている場合があるので注意。
  • S*L(2, R): 成分が実数の 2 × 2-行列でその行列式が 1 または − 1 であるもの全体の成す群。SL(2, R) はこの群の部分群である。
  • 射影特殊線型群 PSL(2, R) = SL(2, R)/{±I}: SL(2, R) に属する行列を単位行列の ±1-倍を掛ける違いを除いて考えた同値類全体の成す群。
  • PS*L(2, R) = S*L(2, R)/{±I} = PGL(2, R): 群 S*L(2, R) に属する行列を同様に単位行列の ±1-倍を掛ける違いを除いて考えた同値類全体の成す群はそれ自身射影群である。PSL(2, R) は指数 2 の正規部分群を含み、それによるその部分群自身とは異なるもう一方の剰余類は、成分が実数の 2 × 2-行列で単位行列の ±1-倍を掛ける違いを除いてその行列式が −1 となるもの全体の成す集合である。

ポワンカレ模型におけるこれらの群の関係は以下のようなものである。

  • しばしば Isom(H) と書かれる H等距変換全体の成す群は PS*L(2,R) に同型である。これは向きを保つものも逆にするものも含まれている。向きを逆にする変換(ミラー変換)は



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