ビルスマイヤー・ハック反応とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 化学反応 > 反応 > ビルスマイヤー・ハック反応の意味・解説 

ビルスマイヤー・ハック反応

(フィルスマイヤーハーク反応 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/19 23:56 UTC 版)

ビルスマイヤー・ハック反応(ビルスマイヤー・ハックはんのう、: Vilsmeier–Haack reaction)またはビルスマイヤー反応[1][2]オキシ塩化リン (POCl3) の存在下、アミドと活性芳香族化合物の間で起こる有機化学反応である。この反応で重要なのはイミンであり、これがプロトン化された芳香族ケトンまたはアルデヒドを与える。例えば、ベンズアニリドジメチルアニリンはオキシ塩化リンの存在下で非対称なジアリールケトンを生成する[3]。またアントラセンは9位の炭素が選択的にホルミル化される[4]

反応機構

反応機構

アミドとオキシ塩化リンの反応で求電子的なイミニウムイオンが生成する。これが弱い求電子剤となり求電子芳香族置換反応によりイミン中間体を形成する。これが容易に加水分解され最終生成物であるアリールケトンやアリールアルデヒドを生成する。

応用例

この反応の最近の応用例の一つとして、これまでの方法では収率が16%しかなかった、トリフェニルアミンを原料とするトリス(4-ホルミルフェニル)アミンの新しい合成法が挙げられる[5]。この低収率の原因は、他の2つのベンゼン環に存在していたイミン基が残ったベンゼン環を不活性化し、3つ目のホルミル化反応を進行しにくくしていることであった。新しい方法ではジイミン体を加水分解によりジホルミル体とし、最後に残ったベンゼン環を再びホルミル化することで、95% の収率でトリス(4-ホルミルフェニル)アミンを得ている。

脚注

  1. ^ Vilsmeier, A.; Haack, A. (1927). “Über die Einwirkung von Halogenphosphor auf Alkyl-formanilide. Eine neue Methode zur Darstellung sekundärer und tertiärer p-Alkylamino-benzaldehyde”. Chem. Ber. 60: 119-122. doi:10.1002/cber.19270600118. 
  2. ^ E. Campaigne and W. L. Archer (1953). "p-Dimethylaminobenzaldehyde". Organic Syntheses (英語). 33: 27.; Collective Volume, vol. 4, p. 331
  3. ^ Charles D. Hurd and Carl N. Webb (1927). "p-Dimethylaminobenzophenone". Organic Syntheses (英語). 7: 24.; Collective Volume, vol. 1, p. 217
  4. ^ (A) L. F. Fieser, J. L. Hartwell, J. E. Jones, (B) J. H. Wood, and R. W. Bost (1940). "9-Anthraldehyde; 2-Ethoxy-1-naphthaldehyde". Organic Syntheses (英語). 20: 11.; Collective Volume, vol. 3, p. 98
  5. ^ Mallegol, T.; Gmouh, S.; Meziane, M. A. A.; Blanchard-Desce, M.; Mongin, O. (2005). “Practical and Efficient Synthesis of Tris(4-formylphenyl)amine, a Key Building Block in Materials Chemistry”. Synthesis: 1771-1774. doi:10.1055/s-2005-865336. 

関連項目





ビルスマイヤー・ハック反応と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ビルスマイヤー・ハック反応」の関連用語

ビルスマイヤー・ハック反応のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ビルスマイヤー・ハック反応のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのビルスマイヤー・ハック反応 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS