フィッシャー型カルベン錯体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 00:55 UTC 版)
「カルベン錯体」の記事における「フィッシャー型カルベン錯体」の解説
このような錯体は1964年にエルンスト・オットー・フィッシャーによって発見された。フィッシャーはクロムのカルボニル錯体にアルキルリチウムを作用させた。アルキルリチウムはカルボニル配位子の炭素原子に付加して、カルベン錯体が生成する。フィッシャーはこれをアルキル化剤でトラップすることにより、安定な錯体としてはじめてカルベン錯体を単離することに成功した。他の金属のカルボニル錯体でも同様にしてカルベン錯体が得られる。そのため、このような合成法で得られる錯体を総称してフィッシャー型カルベン錯体という。フィッシャー型カルベン錯体はカルボニル配位子の強い逆供与によって金属が電子不足状態となるため、それに結合しているカルベン炭素も同様に電子不足となり求電子性を持つ。フィッシャー型カルベン錯体は18電子則を満たす。
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