ビペホルム実験
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ビペホルム実験(ビペホルムじっけん、スウェーデン語: Vipeholmsexperimenten、英語: Vipeholm experiments、Vipeholm Study)は、1945年から1955年にスウェーデンスコーネ県ルンドのビペホルム精神病院で行われた人体実験[1][2]。糖の摂取の仕方と虫歯(う蝕)発生の相関関係を実証した実験である[2]。
スウェーデン政府とスウェーデン歯科医師会とが音頭をとって実施した実験である[1]。
実験概要
入院患者をいくつかのグループに分け、虫歯の発生を調査した[1][2][3][4]。
- 砂糖を食事と一緒に与えたグループ。
- 砂糖を食事とは別に間食として与えたグループ。
また、与える菓子の違い、トフィー、キャラメル、チョコレートによる虫歯の発生の差異を調査した[3]。
実験結果
- 食事といっしょに砂糖を摂ることと、虫歯の発生は関係性が低い[1][2][4]。
- 食間に砂糖を摂ることは虫歯を急激に増やす[1][2][4]。
- 砂糖の摂取量が多いほど虫歯が発生しやすい[1]。
- 粘り気のある菓子、トフィーやキャラメルのほうが虫歯になりやすい[1]。
食事といっしょに24個のトフィーを食べた被験者よりも、8個のトフィーを食間に食べた被験者のほうが虫歯の発生は多かった[3]。
実験に対する批判
1947年にニュルンベルク綱領が採択され、人体実験に対する批判が高まっていった時期であること、実験のスポンサーが製糖会社であったことから、本実験は批判にさらされることとなった[1]。
今日では、非倫理的な人体実験の代表例の1つとして知られ、医学研究における倫理(医療倫理)の重要性を説くための反面教師としても用いられる[5]。
出典
- ^ a b c d e f g h i 渡邊達夫 (2012年5月21日). “(6)ムシ歯のでき方”. MEDICA. 山陽新聞. 2025年4月2日閲覧。
- ^ a b c d e 林裕之 (2024年6月3日). “3「甘い食べ物」と虫歯の意外な関係”. エコノミストOnline. 2025年4月2日閲覧。
- ^ a b c 山田正 (1999年9月14日). “歯科常識のうそ”. 日本トゥースフレンドリー協会. 2025年4月2日閲覧。
- ^ a b c “意外な事実!実は歯にいいチョコレート!?”. クラブサンスター. サンスター (2020年1月28日). 2025年4月2日閲覧。
- ^ “医療倫理・心理学”. 明海大学 (2023年). 2025年4月2日閲覧。
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