タハン山とは? わかりやすく解説

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タハン‐さん【タハン山】

読み方:たはんさん

Gunung Tahanマレーシアマレー半島中部にあるタマンヌガラ国立公園内にある山。標高2187メートル。同半島最高峰熱帯雨林覆われタハン川の源流となっている。グヌンタハン。


タハン山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/26 14:13 UTC 版)

タハン山
タハン山
標高 2187-2190 m
所在地 マレーシア
位置 北緯4度37分57秒 東経102度14分03秒 / 北緯4.63250度 東経102.23417度 / 4.63250; 102.23417 (タハン山)[1]
プロジェクト 山
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タハン山(タハンざん、マレー語: Gunung Tahan)とは、マレーシアマレー半島部分にある山である[2][3][4]ターハーン山と表記されることもある[5]

概要

マレーシアのマレー半島部分は、全体的に山がちの地形である[2]。中央部には中央山脈が南北に縦走し、それに並行して東バンジャラン山脈、西バンジャラン山脈がある[2]。タハン山は、東バンジャラン山脈にあるマレー半島最高峰の山であり[5][2][註 1]、パハン州、ケランタン州の境に位置する[3]。また、タハン山から、その東方にあるマンディ・アンギン山にかけての地域は、タマン・ヌガラ国立公園となっている[3]

標高については、2187メートルとする資料[7]、2188メートルとする資料[8]、2189メートルとする資料[2][9]、2190メートルとする資料が混在する[6]

歴史

「タハン山」は「禁じられた山」を意味する[10]。原住民であるオラン・アスリにとってタハン山はタブーであり、その頂上は巨大な猿によって守られているという信仰があった[10]

部外者がタハン山を認識したのは1875年であった[11]。その後、何人かが登頂しようとしたが、1905年まで成功した者はいなかった[11]。例えば1883年にはイギリス人のベルチャーが挑戦したが、川の増水に伴い行方不明となった[11]。また、1890年には植物学者のヘンリー・ニコラス・リドリーも登頂を試みたが、達成できなかった[11]

初めてタハン山の登頂に成功したのは、セランゴール州の国立博物館のキュレーター、H. C. ロビンソンらのチームであった[11]。ロビンソンらは1905年に登頂に成功したが、その際のチームの人数は65人であり、荷物の量は合計2トンに及んだという[11]。また、14槽の丸太舟を用意していた[11]。登頂は3ヶ月かかった[11]

その後、タハン山は10日程度で登頂できるようになった[11]。ただしハロルド・シュテフェンスは、タハン山を登るためには、雨や寒さをしのぐために相当な準備をしなくてはならないと述べている[11]。また、ガイドとともに7日間で登頂するコースもあるが、マレーシアのガイドブックはかなりきついと紹介している[12]

自然

タハン山は結晶片岩よりなる[3]。また、タハン山はそれほど高い山ではないため、山頂まで樹木が繁茂しており[5]原生林が広がる[10]。植物学者のヘンリー・ニコラス・リドリーは、タハン山にて2つの新種のウツボカズラを発見しており、一方は1908年にネペンテス・アルバ英語版と命名され、もう一方は1924年にネペンテス・グラシリマ英語版と命名された[13]。タハン山には他にもアカネ科Steenisia pleurocarpa var. malayana (T.Yamaz.) K.M.WongMussaendopsis malayana T.Yamaz.)が生育する[14]

動物

タハン山にはトラが生息する[10]

タハン山を取り上げた作品

作家のイシャッ・ムハンマド英語版は『タハン山の王子マレー語版』という作品をのこした[15]。この作品はマレー人青年連盟英語版のメンバーに影響を与えた[4]

脚注

注釈

  1. ^ タハン山は「タハン山脈」に位置する山であると紹介する文献もある[6]

出典

  1. ^ SOUTHEAST ASIA Cambodia, Laos, Thailand, Vietnam, and Peninsular Malaysia”. 2025年4月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e 別枝 1994, p. 184.
  3. ^ a b c d 別枝 1980a, p. 342.
  4. ^ a b 西 2011, p. 55.
  5. ^ a b c 木村、堀井 1994, p. 796.
  6. ^ a b 南洋事情研究会 1942, p. 165.
  7. ^ 大貫、浅野 1987, p. 17.
  8. ^ Saw et al. 2010, p. 681.
  9. ^ 別枝 1980b, p. 614.
  10. ^ a b c d Stephens 2000, p. 91.
  11. ^ a b c d e f g h i j Stephens 2000, p. 92.
  12. ^ Anczewska 2015, p. 265.
  13. ^ Mcpherson 2009, p. 102.
  14. ^ Wong 2011, pp. 307, 310.
  15. ^ 西 2011, p. 54.

参考文献

英語文献

日本語文献

  • 大貫仁人、浅野透「マレーシア森林研究所と林業試験場との共同研究「熱帯林の環境特性に関する研究」について」『熱帯林業』第10巻、1987年、14-21頁。 
  • 木村陸男、堀井健三「マレーシア」『ブリタニカ国際大百科事典 18』、ティビーエス・ブリタニカ、1994年、796-809頁。 
  • 南洋事情研究会『南方地名辞典』婦女界社、1942年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1123973/219?tocOpened=1 
  • 西芳実「アブドゥッラー・フサインのペナン時代 (1939年-1941年): 英領期マラヤの結社と出版」『英領期マラヤの結社と出版." CIRAS discussion paper No. 101:『カラム』 の時代 XII--マレー・イスラム世界の社会変容と女性』第101号、2011年、51-60頁。 
  • 別技篤彦「マレーシア Malaysia」『日本大百科全書 22』、小学館、1994年、184-188頁、 ISBN 4-09-526122-6 
  • 別技篤彦「タハン(山)」『万有百科大事典 10 世界地理』、小学館、1980年、342頁。 
  • 別技篤彦「マレーシア(連邦) Malaysia」『万有百科大事典 10 世界地理』、小学館、1980年、614-615頁。 

外部リンク



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