スザンナと長老たち (ヴァン・ダイク)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/06 08:45 UTC 版)
| ドイツ語: Susanna und die beiden Alten 英語: Susanna and the Elders |
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| 作者 | アンソニー・ヴァン・ダイク |
|---|---|
| 製作年 | 1621-1622年ごろ |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 194 cm × 144 cm (76 in × 57 in) |
| 所蔵 | アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン |
『スザンナと長老たち』(スザンナとちょうろうたち、独: Susanna und die beiden Alten、英: Susanna and the Elders)は、17世紀フランドル・バロック期の画家アンソニー・ヴァン・ダイクが1621-1622年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。『旧約聖書』の「ダニエル書」13章にあるスザンナの水浴の物語を主題としている。1806年にデュッセルドルフの絵画館から移されて以来、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されている[1]。
作品
「ダニエル書」の記述によれば、ある暑い日、ヨアキムの妻スザンナは自宅にあった泉の1つで水浴をしていた。その時、2人の裁判官の老人が隠れた場所から彼女の姿を覗いていたが、彼女は気づかなかった。老人たちはしばらく前から彼女に対して欲望を抱いており、この時、彼女を凌辱しようとした。スザンナが彼らを拒むと、後に彼らは自分たちの裁判官という地位を利用し、彼女を不倫の咎で責めた。しかし、ダニエルが彼女の無実を証明し、彼らは死刑を宣告された[2]。この物語は伝統的に救済と神の正義の象徴とされてきたが、一方で16世紀以降は女性の裸体を描く口実として、しばしば描かれることとなった[3]。
本作の緊密な構図は、スザンナの脆弱性、老人たちの仕草によって強調される彼女の絶望感を強調している。ヴァン・ダイクはこの出来事のクライマックスの瞬間を捉え、物語の語り手としてのすばらしい才能を示している。色彩、描法、輝くような光の反射はヴェネツィア派絵画を想起させる[1]。
脚注
- ^ a b “Susanna and the Elders”. アルテ・ピナコテーク公式サイト (英語). 2025年10月1日閲覧。
- ^ 大島力 2013年、90頁。
- ^ 『グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家』、2015年、114頁。
参考文献
- 『グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家』、国立西洋美術館、ボローニャ文化財・美術館特別監督局、チェント市、TBS、2015年刊行 ISBN 978-4-906908-12-7
- 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2
外部リンク
- スザンナと長老たち (ヴァン・ダイク)のページへのリンク