シーマニア・シルバティカ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/26 20:28 UTC 版)
シーマニア・シルバティカ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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シーマニア・シルバティカの花
(2025年2月 沖縄県国頭村) |
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Seemannia sylvatica (Kunth) Hanst. | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Gloxinia sylvatica (Kunth) Wiehler |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シーマニア・シルバティカ、シーマンニア・シルウァティカ、グロキシニア・シルバティカ |
シーマニア・シルバティカ(学名:Seemannia sylvatica)はイワタバコ科シーマニア属の多年生草本。球根植物。
種小名は森に生えることを意味する[1]。
特徴
鱗状の地下茎を持つ。草丈30–50 cm。茎は緑白色で、初めは直立するが次第に傾く。葉は長楕円状倒披針形で長さ8–13 cm、細長くツヤがあり、全縁で先は細く尖り、対生する。葉腋から7 cmほどの花茎を出し1個の花をつける。萼は5裂し、筒状の花冠は長さ1.5 cm、下面がふくらみ袋状になる。花冠の先は浅く5裂し、やや反り返る。橙赤色の花を秋~春に開花する[2][3][4][5][1]。
分布
南米エクアドル、ペルー、ブラジル、ボリビア、パラグアイ原産[6]。
生育環境と利用
日当たりを好むが、夏は半日陰が良い。高温乾燥を防ぐ。過湿を嫌うため水管理に注意を要する。寒さに弱いので、冬は室内に取り込む必要がある[5]。冬越しには10℃以上が必要で、温暖な沖縄では多年草花壇や地被植物として利用される。病虫害は特にみられない。挿し木や分根で繁殖する[3]。
ギャラリー
近縁種
同属でアルゼンチン~ボリビア原産のシーマニア・ネマタントデス Seemannia nematanthodesも温室等で栽培される。初夏~晩秋に開花し、本種も耐寒性をもたない[7]。
シーマニア属の分類
本種は当初、Seemannia属の種として記載され[8]、この属名で日本へ導入されていた[4]が、Seemanniaは属間交雑が可能な近縁属Gloxiniaへ纏められていた[9]経緯があり[7]、図鑑等では旧属名のグロキシニアが用いられることがある。しかし、Gloxiniaが遺伝的に多系統的であることが明らかにされ[10]、総状花序をもつGloxiniaに対してSeemanniaは異なる等、遺伝的・形態的な差異が認められることから、Gloxiniaは再編・細分化され、本種やシーマニア・ネマタントデスを含む4種が元のSeemanniaへ戻された[11][12]。
脚注
- ^ a b (沖田原 2021, p. 372)
- ^ (池原 1989, p. 236)
- ^ a b (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 121)
- ^ a b (山田 & 堀田 1997, pp. 186–187)
- ^ a b (東宮 2020, p. 133)
- ^ “Seemannia sylvatica (Kunth) Hanst.” (英語). Plants of the World Online. Kew Science. 2025年5月25日閲覧。
- ^ a b (日本インドア・グリーン協会 2020, p. 268)
- ^ (Hanstein 1859, p. 540)
- ^ (Wiehler 1976, p. 374–404)
- ^ (Roalson et al. 2005, pp. 389–410)
- ^ (Roalson, Boggan & Skog 2005, pp. 225–238)
- ^ (Boggan 2006, pp. 26–32)
参考文献
- Hanstein, Johannes (1859), “Die Gesneraceen des Königlichen Herbariums und der Gärten zu Berlin nebst monographischer Uebersicht der Familie im Ganzen.”, Linnaea: Ein Journal für die Botanik in ihrem ganzen Umfange 29: 497–592
- Wiehler, Hans (1976), “A report on the classification of Achimenes, Eucodonia, Gloxinia, Goyazia, and Anetanthus (Gesneriaceae)”, Selbyana 1: 374–404
- 池原直樹「シーマニア」『沖縄植物野外活用図鑑』 8巻《ばら科~きつねのまご科》、新星図書出版、1989年、236頁。
- 海洋博記念公園管理財団「グロキシニア・シルヴァティカ」『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。ISBN 9784902193732。
- 山田益男; 堀田満 著「グロクシニア・シルウァティカ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 2巻、朝日新聞社、東京、1997年、186–187頁。 ISBN 9784023800106。
- Roalson, EH; Boggan, JK; Skog, LE; Zimmer, EA (2005), “Untangling Gloxinieae (Gesneriaceae). I. Phylogenetic patterns and generic boundaries inferred from nuclear, chloroplast, and morphological cladistic datasets”, Taxon 54 (2): 389–410, doi:10.2307/25065368
- Roalson, EH; Boggan, JK; Skog, LE (2005), “Reorganization of tribal and generic boundaries in the Gloxinieae (Gesneriaceae: Gesnerioideae) and the description of a new tribe in the gesnerioideae, Sphaerorrhizeae”, Selbyana 25 (2): 225–238
- Boggan, John (2006), “What happened to Gloxinia?”, Gesneriads: the journal for Gesneriad growers 56 (3): 26–32
- 東宮千鶴 編「シーマニア」『園芸大図鑑 新装版』ブティック社、東京都千代田区、2020年。 ISBN 9784834790313。
- 日本インドア・グリーン協会「シーマニア・ネマタントデス」『熱帯植物図鑑』誠文堂新光社、東京都文京区、2020年。 ISBN 9784416918852。
- 沖田原耕作「グロキシニア・シルバティカ」『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。 ISBN 9784909366832。
外部リンク
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