シャピロの不等式とは? わかりやすく解説

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シャピロの不等式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/16 13:58 UTC 版)

数学におけるシャピロの不等式(シャピロのふとうしき、: Shapiro inequality)、またはシャピロの巡回不等式とは、ハロルド・S・シャピロ英語版によって1954年に提案された不等式である。

内容

自然数 を非負の実数で、

であるとする。ただし、 とする。このとき、

  • 以下の偶数
  • 以下の奇数

のいずれかであれば、次の不等式が成り立つ。

より大きな に対しては不等式は成り立たないが、厳密な下限 が存在する。ここで

重要なケース の最初の証明は Godunova と Levin によって1976年に、もう一方の の最初の証明は Troesch によって1989年に、それぞれ数値計算に依った方法で与えられた。2002年、P.J. Bushell と J.B. McLeod は のときの解析的な証明を発表した。

の値は1971年にウラジーミル・ドリンフェルト(1990年のフィールズ賞受賞者)によって求められた。特に、ドリンフェルトは下限となる で与えられることを示した。ここで は関数 の関数的凸包である。(つまり、 のグラフの上側の部分は、 のグラフの上側部分の合併の凸包になっている)。

左辺の、内部での極小値は常に となることが1968年 Pedro Nowosad により証明された。

より大きな n に対する反例

最初の反例は、Lighthill によって1956年に発見された、 に対するものである:

(ここで は 0 に極めて近いとする。)

このとき不等式の左辺は となり、 が十分小さければ 10 より小さくなる。

次の反例は に対するもので、1985年 Troesch により与えられた:

また、 に対して次の反例がある:

n が小さなときの証明

より自明である。
この場合をネスビットの不等式英語版といい、様々な証明が知られている。
正の数 a に対して、相加平均と相乗平均の不等式から、
よって、 とおくと
ゆえに
正の数 a, b に対して、相加平均と調和平均の不等式から、
また、正の数 a, b, c, d に対して、相加平均と相乗平均の不等式から、
ここで とおくと
ゆえに

参考文献

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