ネスビットの不等式とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ネスビットの不等式の意味・解説 

ネスビットの不等式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/17 19:01 UTC 版)

ネスビットの不等式英語: Nesbitt's inequality)は、以下の不等式である。アルフレッド・ネスビット(Alfred Nesbitt)の名を冠する

ただし、a, b, c は正の実数。等号は a = b = c のとき成立する。

証明

ネスビットの不等式はシャピロの不等式n = 3 の場合である。

証明1:相加調和平均の関係式

相加調和平均の関係式をに用いる。

整理して、

証明2:並べ替え不等式

を仮定すると

を得る。

,

と定義する。並べ替え不等式より、この2列のドット積は、2列がともに単調増加あるいは単調減少であるときに最大値をとる。 今、2列は単調減少数列になっている。2つのベクトルを循環的に置き換えたものとして、

辺辺足して、ネスビットの不等式を得る。

証明3:平方和

任意の実数a, b, cについて、恒等式

が成り立つから、正の実数a, b, cにおけるネスビットの不等式を得る。

備考:すべての有理不等式は、平方和の恒等式に変換することで証明可能である。詳細はヒルベルトの第17問題を参照。

証明4:コーシー=シュワルツ

2つのベクトル

に関するコーシー=シュワルツの不等式

を証明1と同様にして変形することで題意の不等式を得る。

証明5: 相加相乗平均の関係式

のようにラヴィ変換を施して、相加相乗平均の関係式を用いることにより、

を元に戻して、

整理すると、ネスビットの不等式を得る。

証明6:Tituの補題

ティトゥの補題はコーシー=シュワルツの不等式をn個の実数(xk)の列と、n個の正の実数(ak)の列に関する不等式に換言したものである。

とすると、

証明7:斎次性

不等式の左辺が斎次的であることから、 としても一般性を失わない。 ラヴィ変換を施して、

とすれば、不等式は に帰着する。これは、と変形できるが、ティトゥの補題より、成立が確認できる。

証明8:イェンセンの不等式

として、関数を考える。この関数は区間内で凸であるから、イェンセンの不等式より、

整理して、

証明9

について、不等式を証明して、 を考えることにより、右の不等式が示せる。

実際に であるから不等式が成立する。

証明10:ムーアヘッドの不等式

証明9の右の不等式は、におけるムーアヘッドの不等式そのものである。

証明11

不等式を変形して

この左辺は、

となるので、不等式が成立する。

出典

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  ネスビットの不等式のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ネスビットの不等式」の関連用語

ネスビットの不等式のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ネスビットの不等式のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのネスビットの不等式 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS