コダチスズムシソウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/02 08:32 UTC 版)
コダチスズムシソウ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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コダチスズムシソウの花
(2025年3月 沖縄県石垣市) |
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Strobilanthes glandulifera Hatus. | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コダチスズムシソウ、セイタカスズムシソウ |
コダチスズムシソウ(別名セイタカスズムシソウ、学名:Strobilanthes glandulifera[1])はキツネノマゴ科イセハナビ属の半低木または1回繁殖型多年生植物[2][3]。
かつては別名の「セイタカスズムシソウ」が使用されることが多かった[4][5][6][7]が、ラン科クモキリソウ属に同一和名のセイタカスズムシソウ Liparis makinoana[8]が存在し、紛らわしい[2][9][7]ことから、後に提案された、和名の重複しないコダチスズムシソウが推奨されている[10]。
特徴
沖縄本島のコダチスズムシソウは大型で高さ2 mに達し、約6年に1度一斉開花して結実後に枯れる1回繁殖型の生態で知られる[2][3]が、石垣島と西表島のものは高さ1 m以下で開花は不定期[7][11]。葉は菱形状の楕円形から卵状楕円形、鋸歯縁で対生するが、一方が小さい。花枝につく葉は小型だが、花のつかない下方の枝につく葉は大きい[4]。葉裏や茎はほぼ無毛。花は長さ3 cm、淡青紫色または白色で網目模様は明瞭。花期は1–3月。萼は花冠の1/3より短く、半分くらい切れ込む[2][11][3][12]。染色体数は2n=30[7]。
同属のオキナワスズムシソウと類似するが、オキナワスズムシソウは複数回開花する小型の多年生草本であり、葉幅が狭く、茎や葉裏に毛が多く、萼が長い等の特徴がコダチスズムシソウと異なる[12][11][3]。コノハチョウ幼虫の食草として知られる[12]。
ギャラリー
分布と生育環境
沖縄本島、石垣島、西表島に分布[7][11]。山地の湿った場所に群生する[12]。
分類について
コダチスズムシソウはかつて、台湾に分布する多年性草本のアリサンアイS. flexicaulis Hayataと形態的に区別できないことから同種とされていた[6][12]が、生態と分布の違いによりアリサンアイとは別種と判断された[7][11]。
コダチスズムシソウの学名については、YListではS. glanduliferaを標準、S. flexicaulisをシノニム(アウクトルム)としている[1]が、POWOでは山崎(1981, 1991)[5][6]と同様の見解を取りS. glanduliferaをアリサンアイS. flexicaulis var. flexicaulisのシノニムとしている[13]。本稿における学名表記は前者のYListおよび邑田(2017, 2021)[7][11]に従った。
脚注
- ^ a b “コダチスズムシソウ”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2025年3月31日閲覧。
- ^ a b c d (邑田 1997, p. 118)
- ^ a b c d (林 & 名嘉 2023, p. 121)
- ^ a b (池原 1979, p. 256)
- ^ a b (山崎 1981, p. 125)
- ^ a b c (山崎 1991, pp. 303–306)
- ^ a b c d e f g (邑田 2017, p. 173)
- ^ “セイタカスズムシソウ”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2025年3月31日閲覧。
- ^ “セイタカスズムシソウ”. hanapapa.world.coocan.jp. 2025年3月28日閲覧。
- ^ “オキナワスズムシソウ | 山科植物資料館”. yamashina-botanical.com (2021年2月1日). 2025年3月28日閲覧。
- ^ a b c d e f (邑田 2021, p. 449)
- ^ a b c d e (大川 & 林 2016, p. 415)
- ^ “Strobilanthes glandulifera Hatus.” (英語). Plants of the World Online. Kew Science. 2025年3月31日閲覧。
参考文献
- 池原直樹「セイタカスズムシソウ」『沖縄植物野外活用図鑑 第4巻 海辺の植物とシダ』新星図書出版、1979年。
- 山崎敬 著「セイタカスズムシソウ」、佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本』 3巻《合弁花類》、平凡社、1981年、125頁。
- 山崎敬「アリサンアイ,オキナワスズムシソウ,セイタカスズムシソウについて」『植物研究雑誌』第66巻、第5号、303–306頁、1991年 。
- 邑田仁 著「セイタカスズムシソウ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 2巻、朝日新聞社、東京、1997年、118頁。ISBN 9784023800106。
- 大川智史; 林将之「アリサンアイ」『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。 ISBN 9784829984024。
- 邑田仁 著「コダチスズムシソウ」、大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩 編『改訂新版 日本の野生植物』 5巻《ヒルガオ科~スイカズラ科》、平凡社、2017年、173頁。 ISBN 9784582535358。
- 邑田仁 著「コダチスズムシソウ」、大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司 編『フィールド版改訂新版 日本の野生植物』 2巻、平凡社、2021年、449頁。 ISBN 9784582535396。
- 林将之; 名嘉初美「コダチスズムシソウ」『沖縄の身近な植物図鑑』(第2版)ボーダーインク、2023年。 ISBN 9784899824350。
外部リンク
- セイタカスズムシソウ(背高鈴虫草) 野の花賛花
- セイタカスズムシソウ(背高鈴虫草) こまつなの部屋
- コダチスズムシソウ 琉球の植物データベース 国立科学博物館
- セイタカスズムシソウ(背高鈴虫草) うちなー通信
- セイタカスズムシソウ 沖縄カエル商会
- オフシーズンこそ山に行こう!秋と冬の植物たち キュリオス沖縄ブログ
- 6年に一度の花 セイタカスズムシソウ 琉球ハーブではじめるナチュラルライフ(ブログ) 2022-01-13
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