エドム人とは? わかりやすく解説

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エドムびと 【エドム(Edom)人】

エドムパレスチナ南東部の地、セイルとも呼ばれ、そこの住民をいう。エドムは〈赤い〉の意で、その地の赤い砂岩からの名というが、『創世記』ではエドム人の祖エサウ全身赤色多毛だったともいう。エサウの弟ヤコブから出たのがイスラエル人であり、エサウヤコブは不和だったのでエドム人とイスラエル人不和だった。のちにエドム人はイスラエル人吸収されてしまった。→ オバデヤ書

エドム人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/09 00:13 UTC 版)

エドム人は、古代イスラエルに居住したセム民族エドムアカバ湾から死海にかけての地名であった。ヘロデ大王の父アンティパトロスという人物はイドマヤの有力者だった(『ユダヤ古代誌』第XV巻9章)ため、通常ヘロデもエドム系とされる。

聖書に於けるエドム人

聖書ではエドム人はイスラエルの兄弟民族であり、ヤコブの兄エサウの子孫とされ、一度の食事で家督の権を逸した(『創世記』25章29~34節)。モアブの南に拠点を張り、後にダビデ王の代になってイスラエルに朝貢しその属国になったと記されているが(『サムエル記(下)』8章14節・『歴代誌(上)』18章13節)、その後ユダの王がヨラムの時に独立し(『列王記(下)』第8章20~22節)、この後『列王記(下)』では領土をユダに取ったり取られたりを何度か繰り返している(14章や16章など)。

エドム人たちが信仰していた偶像神は『歴代誌(下)』第25章14節に登場するが、モアブ人のケモシュやアンモン人のモロクと違い名前が書かれていない。『ユダヤ古代誌』第XV巻9章によるとエドム人たちが後述のユダヤに同化される前に信仰されていた神は「コーゼ」といい、学者によってはこのコーゼをヘレニズム期からローマ時代にアポロンと同一視された北方アラブで信仰があった「コザー」と同じものとしている[1]

預言書ではしばしばヤハウェの怒りの対象として挙げられている(『アモス書』など)他、エドムの地から仇討のため孤独に戦い赤く染まったものが来るという預言もある(『イザヤ書』63章、オバデア書)。

聖書ではこれ以後エドムがどうなっていたのか未説明だが、別の記録ではマカバイ戦争でユダの王になったハスモン朝のヨハネ・ヒルカノス1世の時代にエドムが征服された際、ヒルカノスの政策でイドマヤ人はユダヤ人に同化され、割礼や律法の順守と引き換えに住み続けることを認められたため大半がユダヤ教徒になり、それから200年ほど後のフラウィウス・ヨセフスの『ユダヤ古代誌』第XIII巻9章1節では「この時以来彼ら(イドマヤ人)はユダヤ人たることを変えていない」としている[2]

言語

カナン諸語に属し、古典ヘブライ語モアブ語英語版と極めて近縁のエドム語英語版を使っていた。

脚注

  1. ^ フラウィウス・ヨセフス 著、秦剛平 訳『ユダヤ古代誌5 新約時代編[XV][XVI][XVII]』株式会社筑摩書房、2000年、ISBN 4-480-08535-1、P84。
  2. ^ フラウィウス・ヨセフス 著、秦剛平 訳『ユダヤ古代誌4 新約時代編[XII][XIII][XIV]』株式会社筑摩書房、2000年、ISBN 4-480-08534-3、P194。

参考文献

  • 新聖書注解いのちのことば社
  • フラウィウス・ヨセフス 著、秦剛平 訳『ユダヤ古代誌4 新約時代編[XII][XIII][XIV]』株式会社筑摩書房、2000年、ISBN 4-480-08534-3
  • フラウィウス・ヨセフス 著、秦剛平 訳『ユダヤ古代誌5 新約時代編[XV][XVI][XVII]』株式会社筑摩書房、2000年、ISBN 4-480-08535-1


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