エディス (漫画)とは? わかりやすく解説

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エディス (漫画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/30 00:24 UTC 版)

「エディス」は、吸血鬼一族の物語を描いた萩尾望都ファンタジー漫画作品『ポーの一族』シリーズのうち、『別冊少女コミック1976年4月号から6月号に掲載された作品である。

『ポーの一族』のシリーズ15作[1]の最終作である。

第10作「ランプトンは語る」の続編で、同作で死んだシャーロッテ・エヴァンズの妹エディスアラン・トワイライトの出会いに始まり、衝撃的なアランの死によりエドガー・ポーツネルが一人行方知らずになり、シリーズのラストを迎える[2]

あらすじ

1976年ロンドンで、エドガーとアランはエドガーにそっくりなエディス・エヴァンズに出会う。彼女は10年前にクエントン館で焼死したシャーロッテの妹であった。シャーロッテの死に負い目を感じるアランはエディスを気にかけ、やがて付き合い始める。彼女がアランから「花の中のランプトン」の絵[3]をもらったことを知ったジョン・オービンは、そのうちエドガーが現れると確信して彼女を見張り始める。

エドガーはエディスの家を探索し、古物商を営む彼女の兄のヘンリーとロジャーが取引に向かう車に密かに乗り込んだところ、到着した先は盗品売買の取引現場であった。そこでエドガーは殺人事件に巻き込まれ拳銃で撃たれてしまう。ヘンリーとロジャーは取引現場にいた取引相手の女を連れて逃げ、その車にもぐり込んだエドガーは翌日エディスの前に姿を現し、彼女から傷の手当てを受ける。そこへオービンが訪れエドガーに再会するが、すぐにエドガーは逃走する。オービンはエディスにエドガーがバンパネラ吸血鬼)であると説明するが、彼女はそれを信じない。

一方、盗品売買の現場でヘンリーたちの取引相手を殺害した犯人たちは、エドガーと間違えてエディスに顔を見られたものと思い、彼女を連れ去ろうとする。エディスはアランに助けを求め、彼らが住む公園の裏手の家に逃げ延びる。2人から話を聞いたエドガーは、自分を撃った犯人たちに対する報復のためエディスに扮装して、犯人たちを始末する。

この殺人と盗品売買などの容疑でヘンリーとロジャーが警察に連行される。取引相手の女、プランタンは麻薬の密売を追うフランスの女刑事だった。アランたちに助けを求めるエディスにエドガーは、彼らは殺人には無関係だが盗品売買は事実だと言い放つ。ショックを受けたエディスは、家に帰ってキッチンの裏に隠し部屋があることを確かめ、ヘンリーたちが盗品売買をしていたことを知る。そこへ現れたアランにお茶を入れようとガスに火をつけたところ、アランは彼女を仲間に加えようと気絶させる。

アランが彼女をバンパネラにするためにエドガーを呼びに戻っている間に、ガス爆発によりエディスの家に火災が発生する。1人家に取り残されたエディスを助けようとした際、アランが誤って炎の海と化した階下に落下して消滅し[4]、エドガーはエディスを救出後、消息不明となる[5]

エドガーたちが燃えるエディスの家に飛び込むところを目撃したオービンは、病院で意識を取り戻したエディスから彼らが住んでいた家を聞き出し、そこでエドガーが燃えてしまい二度と会えないとむせび泣く。そして、彼はやがてエドガーの話の最初のページを書き始める。

補足

  • 女刑事役として登場するプランタンは、作者には珍しい長編ラブ・コメディ作品[6]この娘うります!』(『週刊少女コミック』1975年6-16号)に登場する、ボードリアン・モデル・クラブのトップモデルである[7]

脚注

  1. ^ 番外編「はるかな国の花や小鳥」を第12作として、15作とカウントする。
  2. ^ 2016年に「春の夢」でシリーズが再開している。
  3. ^ トーマス・ローレンスが描いた作品「ランプトン少年像」の少年を、アーサー・トマス・クエントン卿が顔だけをエドガーに描き替えた模写絵の11枚のうちの1枚。
  4. ^ 『別冊少女コミック』1974年12月号の1ページ劇場「ポーの伝説によせて」の最後に、作者は「炎のなかで ひとりの少年が 燃えて消滅しました」と記している。
  5. ^ 「エディス」連載終了直後の『別冊少女コミック』1976年8月号の「少年たちは今どこに!?」(作者と羽仁未央との対談)で次のやりとりがある。
    未央「ところで6月号の『エディス』では、アランが燃えてしまったでしょう。あたしの理想の人を殺しちゃうなんて、ひどいわー!!」
    萩尾「ああいう男の子が理想なの? わたしはエドガーのほうが好きなんだけれど……」
    (中略)
    未央「アランは消滅してしまったんだけど、エドガーは?」
    萩尾「ふっふっふっ……。エドガーは大好きだから絶対に殺さないのじゃ。これ、作者の特権ね(笑)。」
  6. ^ 「『トーマの心臓』の暗いイメージからぬけ出たい……そんなつもりで挑んだ連載でした」と、『この娘うります!』について記されている(『週刊少女コミック』1976年3月28日号の『ポーの一族』とじ込みポスター裏面「萩尾望都の素顔初公開!!」参照)。
  7. ^ 他作品のキャラクターが別の作品に登場するものとして似たような例を挙げれば、『精霊狩り』シリーズ第3作目の「みんなでお茶を」(『別冊少女コミック』1974年4月号)にティペント・ナンセンス博士の助手A役で『 トーマの心臓』のオスカー・ライザーが登場している。

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