インド国立映画開発公社とは? わかりやすく解説

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インド国立映画開発公社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 09:14 UTC 版)

インド国立映画開発公社
National Film Development Corporation of India
略称 NFDC
設立 1975年[1]
種類 公企業
本部 インド マハーラーシュトラ州ムンバイ
 上部組織 インド情報・放送省英語版
かつての呼び名
インド映画財政公社
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インド国立映画開発公社(インドこくりつえいがかいはつこうしゃ、National Film Development Corporation of India、略称:NFDC)は、インド情報・放送省英語版の部局で、インド映画の融資、製作、配給を手掛ける組織。

歴史

NFDC本部があるネルー・センター英語版(事務所は6階)

1960年に前身組織であるインド映画財政公社がインド財務省の部局として創設された(1964年に情報・放送省の部局に移行)[2]。これは映画製作に際して出資者や配給業者による製作への影響力排除と映画の質の向上を訴えるパティル委員会委報告(1951年)以降長年にわたり支援組織創設が議論された結果、1956年5月に創設が決定したための施策である[2]。当初は興行的な成功が見込める商業映画への融資が多かったが、1968年に融資した『ソーム旦那の話英語版』(1969年公開)の成功以降は芸術映画への融資を優先するようになった[2]

1979年にインド映画財政公社とインド映画輸出公社の合併が決定し、1980年4月からインド映画開発公社として映画財政支援政策を担当するようになった[2]。NFDCは1970年代から1980年代のインド映画(特にパラレル映画)の製作に大きく貢献しており、前身のインド映画財政公社時代を含めて300本以上の映画を製作、または製作費を融資している[3][4]。これらの映画は高い評価を得ており、国内外の映画賞で賞を受賞している。NFDCが製作した代表的な作品として、D・V・S・ラージュ英語版が会長を務めていた1982年に公開された『ガンジー』が挙げられ[5][6]、同作で得た収益を元に引退した俳優の生活保護を目的とした映画俳優福祉基金を創設した[2]。1990年代に入ると製作本数が減少したが、情報・放送省が3億ルピーの予算を編成し、また著名な俳優であるオム・プリを会長に迎えたことにより、2000年代には製作本数が増加した[3]

B・K・カランジア英語版はインド映画財政公社の創設に尽力し、長年にわたりNFDC会長を務めた[7][8]。2008年から2011年にかけてオム・プリが会長を務め[9]、2012年にラメーシュ・シッピーが会長に就任した[10]

2020年12月に映画関連業務の重複を解消するため映画祭事務局映画局インド国立フィルム・アーカイヴインド児童映画協会の機能をNFDCに統合することが決定し、2022年3月に統合が実施されたことでNFDCがインドの映画関連業務を一括して担当するようになった[11]

Cinemas of India

2013年、NFDCは1960年代以降に製作されたパラレル映画の宣伝・普及を目的とした「Cinemas of India」サービスを開始した。このサービスでは長年流通していなかった作品の多くが復元され、ウェブサイト上で視聴可能となり、同時にDVDでも視聴できるようになっている。同サービスで視聴可能な作品には『真っ赤なスパイス英語版』『Ek Din Achanak』『Train to Pakistan』『Mammo』『Uski Roti』『Kamla Ki Maut』『27 Down』がある[4][12]

出典

  1. ^ NFDC: Filming in India, Shooting in India, Indian Movies, Indian Films & Cinema, Bollywood”. Nfdcindia.com. 2006年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e 桑原知子「国家と/の芸術 : インド政府の映画政策をめぐって」『人間科学共生社会学』第5巻、九州大学大学院人間環境学研究院、2006年2月、55-76頁、CRID 1390290699812345216doi:10.15017/8037hdl:2324/8037ISSN 1346-2717 
  3. ^ a b “NFDC creates buzz in Cannes film market”. Indian Express. (2008年5月22日). http://www.expressindia.com/latest-news/NFDC-creates-buzz-in-Cannes-film-market/313166/ 2019年8月18日閲覧。 
  4. ^ a b Narayan, Hari (2013年7月29日). “Revisiting the masters”. The Hindu. http://www.thehindu.com/features/cinema/revisiting-the-masters/article4960451.ece 2014年4月28日閲覧。 
  5. ^ Wakeman, John. World Film Directors, Volume 2. The H. W. Wilson Company. 1988. 82.
  6. ^ Special Correspondent. “Film producer D.V.S. Raju passes away”. The Hindu. 2019年8月18日閲覧。
  7. ^ “Film scribe B K Karanjia passes away”. The Times of India. (2012年6月25日). http://timesofindia.indiatimes.com/city/pune/Film-scribe-B-K-Karanjia-passes-away/articleshow/14379393.cms 2014年4月26日閲覧。 
  8. ^ Film journalist B.K. Karanjia, former NFDC chairman, dead”. 2014年4月26日閲覧。
  9. ^ Indian actor Om Puri dies aged 66 from a heart attack”. Screen. 2019年8月18日閲覧。
  10. ^ “Ramesh Sippy new NFDC chairperson”. Hindustan Times (New Delhi). (2012年1月17日). オリジナルの2012年2月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120210163110/http://www.hindustantimes.com/Entertainment/Bollywood/Ramesh-Sippy-new-NFDC-chairperson/Article1-798466.aspx 2013年1月14日閲覧。 
  11. ^ Govt merges Films Division, DFF, NFAI, CFSI with NFDC”. The Economic Times (2022年3月30日). 2024年7月20日閲覧。
  12. ^ Meet the frownies”. Livemint (2013年9月28日). 2013年10月4日閲覧。

外部リンク



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