イェニファー・シモンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2025/10/14 13:44 UTC 版)
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| イェニファー・シモンス Jennifer Simons |
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| 任期 | 2025年7月16日 – |
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| 副大統領 | グレゴリー・ルスラント |
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| 任期 | 2010年6月30日 – 2020年6月28日 |
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| 出生 | 1953年9月5日（72歳） パラマリボ |
| 政党 | 国民民主党 |
| 出身校 | スリナム大学 |
| 配偶者 | フレン・ヘールリングス |
イェニファー・ヘールリングス＝シモンス（オランダ語: Jennifer Geerlings-Simons[注 1], 1953年9月5日 -）はスリナムの政治家、医師。2010年から2020年までスリナム国民議会議長を務めた後、2025年に大統領に選出された。この国で初めての女性大統領である。デシ・ボーターセにより設立された国民民主党 (NDP) の党首を2024年より務めている。
来歴
1953年、当時オランダ領ギアナのパラマリボに誕生[7]。4人の兄弟姉妹の長女だった[8]。一般中等学校 (AMS) に通った後[9]、スリナム大学（現アントン・デ・コム大学）医学部を卒業した[8]。専門分野の研修のためオランダへ渡ったが、1980年にスリナムでクーデターが起こったため家族を心配して帰国[9]。パラ地方オンフェルワハトやパラマリボ大学病院、ニッケリエ地方やマロウィネ地方アルビナでの勤務を経て皮膚科医となり、以後およそ30年間医療に携わる[8][10]。
1996年、パラマリボ地区よりスリナム国民議会議員に初当選し、その後2020年まで議員を続けた[7]。国会議員としては、公衆衛生・教育・運輸・通信・観光などに関する委員会に所属していた[11]。
2000年5月25日の国民議会選挙では、NDPを筆頭とする政党連合MC（Millennium Combinatie; ミレニアムコンビネーション）が、ラシット・ドゥキを大統領候補、シモンスを副大統領候補に擁立し10議席を獲得した[12][13]。しかし民主発展新戦線 (ニューフロント) が33議席を獲得して勝利し、同年8月4日に議会で実施された大統領選挙ではスリナム国民党 (NPS) のロナルト・フェネティアーンが37票を獲得して当選した[12][13]。シモンスは立候補を辞退し、進歩改革党 (VHP) のユーレス・アヨディアが副大統領に選出された[12][13]。2000年から2006年までシモンスはNDPの院内総務（議員団長; fractieleider）を務めた[8][14]。
2010年6月30日、国民議会議長選挙においてシモンスは現職のパウル・ソモハルジョを26票対24票で破り、新議長に選出された[15]。
2020年3月、スリナムにもコロナウイルス (COVID-19)が流行すると、COVID-19危機管理チームが設立され[16]、国会議長のシモンスが委員長に就任した[17]。同年5月25日の選挙ではチャン・サントクヒ率いるVHPが第1党（20議席）、NDPが第2党（16議席）、ABOPが第3党（8議席）となる[18]。この回ではシモンスは当選したが翌月に国会議員就任を辞退し政界からの離脱を表明、NDPの比例代表名簿第6位だったスティーブン・ツァンが繰り上げ当選した[19]。6月29日に召集された国会でABOPのロニー・ブルンスウェイク党首が新議長に選出された[18]。7月16日にVHPのサントクヒ党首が大統領に就任、ABOPのブルンスウェイク党首は副大統領に就任すると同時に国会議長を退任した[20]。
2024年にシモンスは政界に復帰し、7月13日にボーターセの後継となるNDP党首に選出された[3][7]。
2025年5月25日の選挙において、シモンス率いるNDPは第1党（18議席）、VHPは第2党（17議席）となる[21]。2日後、NDPは議席を獲得した6政党のうちVHPを除いた5党との連立を組み、国会の定数51のちょうど3分の2に当たる34議席を制し、シモンスの次期大統領選出を可能にした[7][21][22]。
7月6日、国民議会はシモンスを大統領、NPS党首のグレゴリー・ルスラントを副大統領に選出した[21][23]。VHPは事前に対立候補を用意しておらず、シモンスの選出は確実視されていた[23]。7月16日、パラマリボ市内のアンソニー・ネスティ・スポーツホールにおいて、大統領就任式が挙行され[4]、イェニファー・シモンス内閣が発足した[24]。
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2009年11月8日、パラマリボのトゥルトネラーン通りで開催されたNDPの会合にて撮影。 -
2010年10月30日、米国海軍の強襲揚陸艦イオー・ジマ (LHD-7)を視察するシモンス。 -
2014年12月4日、エクアドル国民議会のガブリエラ・リバデネイラ議長との会談。両者の国旗の配置は逆になっている。 -
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2018年6月20日、パラマリボの戦没者慰霊碑を訪れたインドのラーム・ナート・コーヴィンド大統領。その両隣に立つシモンスとボーターセ。 -
2025年7月8日、在スリナム米国大使館にて開催された第249回独立記念日祝賀会に参加したシモンス。
家族
イェニファー・シモンスの母イルマ・シモンス (Irma Helouise-Simons) は看護師、父アルウィン・メンケ (Alwin Desire Menke) はオランダのスリナム駐留軍 (TRIS) に所属していた[9]。イェニファーには妹が1人、弟が2人いる[8]。
2012年4月、ボーターセ大統領がかつて関与したとされる人権侵害に対し刑事責任を問わないとする恩赦法改正案が可決された[25]。これに対してパラマリボで大規模な抗議デモが行われたが、このデモには当時の国会議長だったイェニファー・シモンスの妹であるマデロン・メンケ (Madelone Menke) も参加していた[26][27]。
夫のフレン・ヘールリングス (Glenn Geerlings) とは1981年に結婚した[7]。夫は教育関連の事業を手掛け、オランダのヴァーヘニンゲンにある農業学校 (landbouwschool) のプロジェクトに携わっている[28] 。シモンスの大統領就任により、スリナム初の「ファーストジェントルマン」となったが、本人はその呼ばれ方をよく思っていないとされる[29]。スリナムのファーストレディはこれまで政府における儀礼的な職務を行う場合があったが、シモンスは就任後の記者会見にて自身の夫はそのような役割を負うことは絶対にないと宣言した[30]。
夫妻には1982年5月14日に長男のエドワルト (Edward) が誕生し、続いてナオミ (Naomi)とヨナタン(Jonathan) という2人の子が生まれた[31]。エドワルトはスリナム国軍に入隊して航空パイロットとなり、2007年のミス・スリナムに選ばれたサフィラ・ドゥールハム (Safyra Duurham) と結婚し2人の子を得た[31]。しかしのちに病に冒され、キューバで治療を受けていたが2015年7月10日に33歳で他界した[31][32]。
脚注
注釈
出典
- ^ 大統領にシモンス氏 初の女性元首、国会で与野党逆転―南米スリナム - 時事ドットコム（2025年7月7日）
- ^ スリナム初の女性大統領誕生、議会がシモンズ氏を選出 - KWP News／九州と世界のニュース（2025年7月7日）
- ^ a b スリナム月間情勢報告 (2024年7月) (PDF) - 在トリニダード・トバゴ日本国大使館
- ^ a b Inauguratie van president Jenny Simons gestart in Anthony Nesty Indoor Stadion（イェニー・シモンス大統領就任式 アンソニー・ネスティ・インドアスタジアムで開始） - De Snelle Pen（2025年7月16日）
- ^ 'Tante Jenny' geeft Suriname hoop, maar kan ze afrekenen met het verleden?（スリナムに希望をもたらした「イェニーおばさん」は過去の出来事を受け入れられるか） - オランダ放送協会（2025年5月29日）
- ^ Tante Jenny, een tweede Thein Sein?（「イェニーおばさん」は第2のテイン・セインか） - Nieuw Wij（2025年7月8日）
- ^ a b c d e Jennifer Geerlings-Simons (1953- ) - BlackPast.org（2025年6月29日）
- ^ a b c d e CURRICULUM VITEA DRS. JENNIFER GEERLINGS-SIMONS（ドクトランドゥス・イェニファー・ヘールリングス＝シモンスの履歴書)
- ^ a b c Het verhaal van Jennifer Simons; de eerste vrouw die Suriname gaat leiden（イェニファー・シモンスの物語―スリナムを指導する最初の女性） - Culturu.com（2025年7月14日）
- ^ Jennifer Geerlings-Simons, Suriname's first female president: an inspiring role model for Caribbean generations. - Richès Karayib
- ^ H.E. JENNIFER GEERLINGS-SIMONS - Global Summit of Women Speakers of Parliament
- ^ a b c スリナムの政党システムに関する研究ー多極共存型民主主義から競合的政党システムへー (PDF) （亜細亜大学・上智大学非常勤講師 松本八重子）87頁、94頁 - J-STAGE
- ^ a b c Report of the Electoral Observation Misson to Suriname 2000 (PDF) , p28, "B. The Election of the President and Vice President"（『2000年スリナム選挙監視団の報告』28頁「B.正副大統領選挙」） - 米州機構
- ^ NDP Fractie - Nationale Democratische Partij（国民民主党）
- ^ Jennifer Simons gekozen tot assembleevoorzitter（イェニファー・シモンスが国会議長に選ばれる） - Starnieuws（2010年6月30日）
- ^ COVID-19 response boosts Suriname's health system - Universal Health Coverage Partnership（2020年7月31日）
- ^ WET UITZONDERINGS TOESTAND NA HEFTIGE DEBATTEN EN MARATHON VERGADERING GOEDGEKEURD IN DNA - United News（2020年4月8日）
- ^ a b スリナム月間情勢報告 (2020年6月) (PDF) - 在トリニダード・トバゴ日本国大使館
- ^ Jennifer Simons neemt na 24 jaar afscheid van DNA（イェニファー・シモンスが24年目にして国会を去る） - Starnieuws（2020年6月21日）
- ^ スリナム月間情勢報告 (2020年7月) (PDF) - 在トリニダード・トバゴ日本国大使館
- ^ a b c スリナム、初の女性大統領 国会が選出、シモンス氏 - 47NEWS（2025年7月7日）
- ^ Six parties sign intent to form coalition with Jennifer Geerlings-Simons as President（6党がイェニファー・ヘールリングス＝シモンスを大統領とする意見書に署名） - The Daily Herald（2025年5月27日）
- ^ a b Simons and Rusland to be elected by acclamation（シモンスとルスラントは拍手喝采で選ばれることとなる） - Times of Suriname（2025年7月6日）
- ^ Kabinet-Simons eindelijk compleet met NPS-voordracht Patrick Brunings（シモンス内閣、NPSがパトリック・ブルニングスを指名したことでついに完成） - de Ware Tijd（2025年7月12日）
- ^ スリナム共和国概況 10頁 - 在トリニダード・トバゴ日本国大使館（2024年2月）
- ^ Protest in Paramaribo tegen amnestiewet（パラマリボで恩赦法に反対する抗議活動） - Nickerie.net（2012年4月11日）
- ^ Surinamers laten hun stem horen（スリナム人たちが声を上げる） - Nickerie.net（2012年4月11日）
- ^ Er komt absoluut geen kabinet van de 'First Gentleman'（絶対に「ファーストジェントルマン」内閣とはならない） - Starnieuws（2025年7月17日）
- ^ “Hij houdt niet van de term ‘First Gentleman’（彼は「ファーストジェントルマン」という言葉が好きではない） - Times of Suriname（2025年7月17日）
- ^ Geen ceremoniële rol voor first gentleman Glenn Geerlings: “Dat gaat absoluut niet gebeuren”（ファーストジェントルマンのフレン・ヘールリングスに儀礼的な役割はない―「それは決して起こらない」） - de Ware Tijd（2025年7月16日）
- ^ a b c Edward Ansel Reijnold Geerlings - Parbode（2016年7月20日）
- ^ Zoon assembleevoorzitter Simons overleden（シモンス国会議長の息子が死去） - Suriname Herald（2015年7月10日）
外部リンク
- Jennifer Simons 2025
- Kabinet Simons-Rusland（シモンス＝ルスラント内閣）
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| 先代 チャン・サントクヒ |
スリナム共和国大統領 2025年 - |
現職 |
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| 先代 デシ・ボーターセ |
国民民主党党首 2024年 - |
現職 |
| 議会 | ||
| 先代 パウル・ソモハルジョ |
スリナム国民議会議長 2010年 - 2020年 |
次代 ロニー・ブルンスウェイク |
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| 大統領 |
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| 軍事政権 | ||
| 1 軍部が元首を代行 | ||
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