みかけの速度の導出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28 02:35 UTC 版)
活動銀河核から発する宇宙ジェットが AB に沿って速度 v で運動しているとする。我々は点 O からこれを観測する。時刻 t1 において、点 A にあるジェットから光線が放たれ、時刻 t2 においては点 B から放たれる。 点 O における観測者は光線をそれぞれ時刻 t′1, t′2 に観測する。 角度 ϕは二つの光線の光路長 DL が同じとみなせるほど小さいものとする( ϕ≒0,すなわち観測者がずっと遠方にいるとみなす)。 δ t ′ = t 2 ′ − t 1 ′ = t 2 − t 1 − v δ t cos θ c = δ t − v δ t cos θ c = δ t ( 1 − β cos θ ) {\displaystyle \delta t'=t_{2}'-t_{1}'=t_{2}-t_{1}-{\frac {v\delta t\cos \theta }{c}}=\delta t-{\frac {v\delta t\cos \theta }{c}}=\delta t(1-\beta \cos \theta )} ここで、 β = v / c である。 CB に沿ったみかけ上の接線速度は、 v T = ϕ D L δ t ′ = v sin θ 1 − β cos θ {\displaystyle v_{\text{T}}={\frac {\phi D_{L}}{\delta t'}}={\frac {v\sin \theta }{1-\beta \cos \theta }}} みかけ上の接線方向速度は次の角度において最速となる。 ⇒ sin θ max = 1 − cos 2 θ max = 1 − β 2 = 1 γ {\displaystyle \Rightarrow \sin \theta _{\text{max}}={\sqrt {1-\cos ^{2}\theta _{\text{max}}}}={\sqrt {1-\beta ^{2}}}={\frac {1}{\gamma }}} ここで γ = 1 1 − β 2 {\displaystyle \gamma ={\frac {1}{\sqrt {1-\beta ^{2}}}}} である。 もし γ ≫ 1 {\displaystyle \gamma \gg 1} ならば(すなわちジェットの速度が光速に近いとき)、 β T max > 1 {\displaystyle \beta _{\text{T}}^{\text{max}}>1} が β < 1 {\displaystyle \beta <1} にもかかわらず成り立つ。 そしてもちろん、 β T > 1 {\displaystyle \beta _{\text{T}}>1} は CB に沿った接線方向の速度、天体観測から得られる唯一の速度が真空中の光速よりも大きいことを示す。よって、運動はみかけ上光速を超える。
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