皇統
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 04:27 UTC 版)
皇統(こうとう)
概要
一般的には前者の「天皇の血統」を指す。古くは「日嗣」「日継」とも呼ばれた。「日嗣」とは皇祖以来の皇統譜であり、父系(男系)の血脈により世襲により継承されてきた天皇、皇族の系譜である。 皇室典範義解には「皇統は男系に限り、女系の所出に及ばざるは皇家の成法なり」とある[3]。 現在でも同族婚が行われなくなった奈良朝以降においては皇統とは明確に男系のみを指すと言われる[4]。
歴史的には古代天皇の葬祭儀礼において殯宮において口承で読み上げられていた日嗣(「日本書紀」皇極元年十二月条)[5]があり、その口承系譜である日嗣をおそらく継体・欽明朝に筆録したものが原帝紀である「帝王本紀」「帝紀」となり、この記録を記を元に「古事記」「日本書紀」が編纂された[6]。中世には本朝皇胤紹運録などにまとめられ、明治時代になると皇統譜(旧皇統譜)にまとめられた。
皇統の範囲と解釈
皇統とは天皇の父系(男系)の血脈により世襲により継承されてきた天皇、皇族の系譜である。その解釈や皇統の範囲については論争がある。評論家の小林よしのりは皇室典範第1条に「皇位は皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と書かれていて、これは皇統には男系女系両方が含まれる前提でそのうち、男系の男子が継承するとしか読みようがない。また、皇統が男系のみならば「皇統に属する男子」と書けばいいことになると主張している[7]。しかし、明治21年5月8日の枢密院議事録には将来、「皇統には女系も含まれる」という解釈を主張する者が現れ、女系天皇が実現してしまわないようにする配慮から重複する文章にした[8]との反論もある。また、『皇室義解』には「皇統は男系に限り女系の所出に及ばざるは皇家の成法なり」[9]とあり、皇統は男系のみであるとしている。
脚注
- ^ 皇位継承問題における議論の中においては「歴史的にも伝統的にも父系(男系)血統そのものを指す言葉である」とする主張と「男系、女系双方を含める」とする主張とに分かれている[要出典]。
- ^ 伊藤博文 2018, p. 225‐226.
- ^ 伊藤博文 2018, p. 223.
- ^ (百地章「憲法における天皇と国家」成文堂、2024‐3‐20、18頁)
- ^ 「神話から歴史へ」講談社学術文庫 2017 208頁
- ^ (水谷千秋「継体天皇と朝鮮半島の謎」文春新書、2013‐7‐20、224‐231頁)
- ^ 『サピオ』小学館、11月25日 平成21、59頁。
- ^ “新旧皇室典範における皇統の意味について”. 日本大学 (2016年12月). 2025年7月9日閲覧。
- ^ 『憲法義解』国家学会、4月24日 1889、128頁。
参考文献
- 伊藤博文『口語訳 帝国憲法皇室典範義解』呉PASS出版、2018年2月11日。
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