FTTH
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 23:48 UTC 版)
特徴
利点
電話線を利用するADSLと比較して、収容局(中継局)からの線路長が長くても伝送損失の影響が少なく、また道路・鉄道・AMラジオ放送といったノイズ源からの干渉等による外部の影響も受けない。それらを原因とした速度低下や切断(再トレーニング)も少なく、安定した通信が可能である。収容局から加入者宅までの通信可能距離は、後述する PON の場合では概ね 20 kmまでとなっている。
安定したIP電話・IPテレビ電話、光波長多重通信によるデジタルテレビ放送を含む多チャンネルのケーブルテレビ の同時伝送など、多彩なサービスの提供が可能である。
上り(≒送信)の帯域がADSLよりも多く確保されているため、撮影した動画の送信や自宅サーバ運営など大容量のデータをやりとりする環境では大きな利点となる。
欠点
電話線やケーブルテレビなどの既存の通信網とは別に新規に光通信網を構築するため、サービスエリアの拡大に多大な費用がかかる。そのため、提供されるエリアは一般的には都市部や需要のある地域などに限定される。尚、離島でも八丈島のようにBフレッツが利用可能な例もある(「情報格差」も参照)。
従来は、ガラス製の光ケーブルがその性質から屋内の配線での自由な取り回しが利かず、また取り扱いに一定の知識・技術、専用の工具を要していた。各戸への光ケーブルの引き込みが考慮されていない設計が古いマンションやアパートなどの集合住宅・ビルでは、戸別導入は難しく、代替としてLAN配線、VDSLやFWAなどを利用していた。これらは FTTH に含めず FTTB と呼ばれる。
プラスチック製クラッド光ファイバーケーブルの導入・普及により、ガラス製クラッドよりも曲げに強く、さらに5mm程度の小径曲げもできるような技術開発が進み、屋内配線として、既存の配管にも導入しやすくなっている。現状は圧力・穿孔等の耐性を除いては2芯電話線と大差ない特性を持つ光ファイバーケーブルが普及し、従来は前述のVDSL等を利用する必要があったケースでも、光ファイバーの直接引き込み (FTTH) が行われている。
ISPが最大通信速度 100 Mbps - 10 Gbpsをベストエフォートで提供している。これは、加入者と局舎間の通信規格上の最大速度であって、光ファイバーの芯を共有(下記参照)し、数 Gbps - 数十 Gbps程度のバックボーン回線を使用しているため、インターネットなどへの通信速度は最大値から大きく下回る場合が多い。
注釈
- ^ 実績として、NTTは、通信速度の向上と、コスト削減を目的として、FTTHのサービス開始から6年間で分岐方式を4回(計7種類)変更している。現在は「GE-PON」と呼ぶ方式だが、将来は 10 Gbps超の高速化を実現する「WDM-PON」への移行が検討されている。
出典
- ^ 例:フレッツ・テレビ
- ^ 『情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会(第11回)配布資料・議事録』(プレスリリース)総務省、2014年7月10日 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 『NTT東西に対する訴訟の提起について』(プレスリリース)ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、2011年11月18日 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 『NTT東西に対する独禁法差止訴訟の判決について』(プレスリリース)ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、2014年11月18日 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 電気通信事業分野における市場分析 に関するデータブック(平成 27 年度) (PDF)
- ^ 『NTT東西のFTTHアクセスサービス等の卸電気通信役務に係る電気通信事業法の適用に関するガイドライン(案)』(pdf)(プレスリリース)総務省、2015-1- 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 『NTT東西による光回線サービスの卸売の提供に伴う消費者向け光サービス提供に当たっての消費者保護のための取組(要請)』(プレスリリース)総務省、2015年1月28日 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 『光サービス(FTTHサービス)の乗換えにあたっての注意点!!』(pdf)(プレスリリース)総務省 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 『よく分からないまま契約していませんか?インターネット、携帯電話等の電気通信サービスに関する勧誘トラブルにご注意!』(pdf)(プレスリリース)国民生活センター、2015年3月6日 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 光サービス卸で不適切勧誘 総務省、2社に行政指導へ | 産経新聞[リンク切れ]
- ^ 『NTT西日本の販売代理店をかたる強引な販売勧奨にご注意ください』(プレスリリース)NTT西日本 。2015年10月24日閲覧。
- ^ 「遠隔操作ソフトのインストールは、訪問者を家に招き入れる行為」| RBB
- ^ “消費者保護ルールの見直しに関する電気通信事業法施行規則及びガイドライン等の改正(中央省庁からの情報)_国民生活センター”. www.kokusen.go.jp. 2022年4月3日閲覧。
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