Deep Love 登場人物

Deep Love

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 07:35 UTC 版)

登場人物

アユ
17歳の女子高生。容姿端麗で成績優秀。日常的に援助交際を行っているが、基本的には優しい性格。
健二
アユの恋人。職業はホストだが、薬物中毒に陥っている。のちにクラブの金を横領し、自殺する。
義之
おばあちゃんの養子として育てられている少年。
義之の父
アユの援助交際相手になるが、のちにアユからエイズに感染し、自殺。
おばあちゃん
アユがパオを通じて出会った高齢女性。義之を養子として育てていた。
レイナ
アユの親友。口癖は「バリ」。[14]明るい性格でアユの良き理解者だが、ある事がきっかけでクラスメイトから恨みを買い、呼び出されたカラオケボックス内で複数の男達[15]から暴行を受けて父親不明の子供を妊娠してしまい、女児を出産。その子に「アユ」と命名する。
美容師。実はかつて、レイナを仲間達と共謀して暴行した過去がある。[16]
アイラ
レイナの同僚。レイナの良き理解者。
パオ
野良犬。アユに拾われる。

小説

シリーズ4作の累計出荷部数は、2004年12月までに250万部を記録した。もともと携帯サイトで掲載されていたものの書籍化であるため、携帯電話の画面上と同じく横書きで書かれている。商業出版版の第1部から第3部の売上金の一部はエイズストップ基金に、そして特別版の売上金の一部は動物ボランティア団体へ寄付される。

  • Ayu's Love Story(ZAVN、2000年11月11日発行)自費出版
  • 第1部『アユの物語』(スターツ出版、2002年12月25日発行)ISBN 4-88381-008-9
  • 第2部『ホスト』(スターツ出版、2003年5月26日発行)ISBN 4-88381-013-5
  • 第3部『レイナの運命』(スターツ出版、2003年7月7日発行)ISBN 4-88381-014-3
  • 特別版『パオの物語』(スターツ出版、2003年7月発行)ISBN 4-88381-015-1
  • 『Deep Love neo』アユの物語の全面改訂版。(講談社、2019年2月13日発行) ISBN 978-4-06-515279-9

評価

10代の女性を中心に大きな支持を集め書籍も大ヒットしたにもかかわらず、文芸評論家からはほぼ黙殺された状態が続いていた[17]

書籍『百年の誤読』における岡野宏文と豊崎由美との対談では、『Deep Love 〜アユの物語〜』について、筋が通っていない・括弧書きの記述が説教くさい・内容が浅はか、など毒舌で酷評されている[18]。文芸評論家の斎藤美奈子も、文芸誌主催の新人文学賞なら1次選考で落選するレベルと辛口に評価する一方、そもそもこの小説は批評など必要としていないのかもしれないと述べている[19]

語彙が少ない・表現が稚拙といった批判がなされることについて、作者のYoshiは、ふだん小説を読まない人の興味を惹くことも作り手の使命であり、難解な表現を使って読者に理解してもらえなくなることを避けたのだと述べている[20]

文学研究者の石原千秋は、日本の入学試験での国語について述べた著作などで繰り返し「日本の国語教育は実は道徳教育である」という主張を行っているが、地の文から切り離された形式で「説教臭い語り」が挿入される本作はまさに道徳の教科書あるいは国語の教科書に掲載される小説のようなものであり、作者のYoshiは渋谷で援助交際をする女子高生にとっての教師でもあるのだと述べている[21]

精神科医斎藤環は、日本の若者文化で「相互排除的に記述可能な領域」はヤンキー文化・おたく文化・サブカル文化の3つであるとした上で[22]、本作はヤンキー文化的な「下世話な風景」を描写の対象とした稀有な作品であると述べている[23]


注釈

  1. ^ 公式サイトでの表記は「テレビ九州」

出典

  1. ^ 本田透 『なぜケータイ小説は売れるのか』 ソフトバンククリエイティブ、2008年、31-32頁。ISBN 978-4797344028
  2. ^ 杉浦由美子 『ケータイ小説のリアル』 中央公論新社、2008年、33頁。ISBN 978-4121502797
  3. ^ 吉田悟美一 『ケータイ小説がウケる理由』 毎日コミュニケーションズ、2008年、44頁。ISBN 978-4839926601
  4. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』33-36頁・91-92頁。
  5. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』38・92頁。
  6. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』36頁。
  7. ^ 松島滋「ケータイ小説を出版するということ」『國文學』2008年4月号、54頁。
  8. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』94-95頁。
  9. ^ 下田博次 『子どものケータイ-危険な解放区』 集英社、2010年、113頁。ISBN 978-4087205510
  10. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』95頁。
  11. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』35頁。
  12. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』96-97頁
  13. ^ 石原千秋 『ケータイ小説は文学か』 筑摩書房、2008年、55-56頁。ISBN 978-4480687852
  14. ^ 「バリ」は「とても~」や、「すごく~」という意味で使われている様子。
  15. ^ その中には明もいた。
  16. ^ 犯人が複数いた事もあり、レイナは暴行犯の中に明がいた事は知らない。
  17. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』33頁。
  18. ^ 岡野宏文・豊崎由美 『百年の誤読』 ぴあ、2004年、378-381頁。ISBN 978-4835609621
  19. ^ 斎藤美奈子「ほんのご挨拶」『AERA』2003年10月27日号、76頁。
  20. ^ 『なぜケータイ小説は売れるのか』35・40頁。
  21. ^ 『ケータイ小説は文学か』56-57頁。
  22. ^ 斎藤環 『文学の断層 セカイ・震災・キャラクター』 朝日新聞出版、2008年、95-96頁。ISBN 978-4022504081
  23. ^ 『文学の断層 セカイ・震災・キャラクター』85頁。
  24. ^ DeepLove ドラマ情報”. ネオプレックス. 2005年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月11日閲覧。
  25. ^ 動画ストーリー&放送地域と時間”. ネオプレックス. 2005年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月11日閲覧。






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