ACアダプタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/04 14:34 UTC 版)
電気回路
ACアダプタ(AC-DCアダプタ)は、コンセントより得た交流電力を、内部の変圧器(トランス)によって電圧を降下(降圧)させた後、整流器(ダイオード)によって全波整流し、平滑回路(平滑コンデンサ)によって出力を平滑化して直流電力を出力する。なお安定化回路が付加されていない場合、無負荷もしくは低負荷の場合に定格の1.5倍程度の電圧が、高負荷の場合は定格を下回る電圧が出力されてしまうことがある。そのため多くの場合、さらにシリーズレギュレータまたはスイッチングレギュレータといった安定化回路を接続して、出力電圧を一定にさせている。 なお小容量のものでは安定化回路を使用せず、変圧器と整流器、簡単な平滑回路だけで構成された、非安定化ACアダプタもある。小電流のスイッチング方式のACアダプタの中には、トランスの代わりにコンデンサとツェナーダイオードを使用したトランスレス方式のものもある。
1990年代以降はスイッチング方式のスイッチング電源が主流になっている。旧来の大きめのトランスと簡単な平滑回路だけのACアダプタに比べ、スイッチングノイズが発生したり、部品点数が多くなりコストがかかるなどのデメリットがある。しかし小型トランスが使えたりトランスレスにすることができるため小型化・軽量化が可能であったり、電力の変換効率が高いというメリットがある。
交流から直流への変換時に生ずる電力損失は熱エネルギーの形で放出されるため、使用中のACアダプタは熱を持つことが多い。 シリーズレギュレータを使用した安定化電源回路を搭載している場合、この部分での熱損失が非常に大きい。スイッチングレギュレータの場合も発熱はするが、シリーズレギュレータに比べれば少ない傾向にある。同様の回路構成では、容量が大きいほど発生する熱も多くなる傾向にある。大型のACアダプタでは、冷却用のファンを搭載し強制空冷としているものもある。
使用時以外でもACアダプタには内部回路の構成上、微弱ながら電流が流れている。待機電力を減らすためには、使用していない機器のACアダプタはコンセントから外しておくことが望ましい。なお、ACアダプタは交流から直流への変換(順変換)を目的とした機器であり、直流から交流への変換(逆変換)は不可能である。
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トランス式のACアダプタの内部(非安定化、電圧可変・極性切替スイッチ付き)
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スイッチング式のACアダプタ(ヨーロッパ仕様)の内部
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iPod classicのUSB ACアダプタの内部(スイッチング式)
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トランス式ACアダプタ(リニア電源)のブロック図
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トランス式ACアダプタの非安定化回路(TV1:変圧回路、VD:ブリッジ整流回路、C1:平滑コンデンサ)
注釈
- ^ 1989年9月制定
- ^ IEC 60130-10 "Connectors for frequencies below 3 MHz. Part 10: Connectors for coupling an external low-voltage power supply to portable entertainment equipment"にも同じものが規定されている。
- ^ 電圧は12Vもしくは24V、電流は最大2A。
- ^ JEITA ET-2502A「DCプラグ・ジャックを用いる機器に関する表示事項及び表示方法」では、注意を促すときの表記例で「付属以外のACアダプタを使用すると、故障の原因になることがあります。」「指定機器のみご使用ください。他の機器への接続は絶対に行わないでください。」と書くように定められている。
- ^ これは供給電流の上限値なので、出力電流がやや大きくてもよいが、極端に大きかったり小さすぎるものは適さない。
出典
- ^ “ACアダプタってなに?”. ちえぶくろう. 2022年3月30日閲覧。
- ^ “ACアダプタってなに?”. ちえぶくろう. 2022年3月30日閲覧。
- ^ “世界の電源電圧|各国の法令・規格|製品情報 |オリエンタルモーター株式会社”. www.orientalmotor.co.jp. 2022年3月30日閲覧。
ACアダプタと同じ種類の言葉
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