蓬萊ダム 周辺

蓬萊ダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/18 21:49 UTC 版)

周辺

福島市中心市街地を南北に貫く国道4号・黒岩交差点から蓬萊橋で阿武隈川を渡って上流に向かって進むと、阿武隈峡の入口にある信夫ダムに至る。信夫ダムは上流に位置する蓬萊発電所の逆調整池を形成する。蓬萊発電所は電気を多く消費する時間帯に集中して発電する運用が採られるため、発電所から川に放流される水の量は一定ではない。これを一時的に貯え、下流には一定量を放流することで、蓬萊発電所の運用に伴う川の増減水を抑えているのである。信夫ダム直下右岸には信夫発電所があり、ここから福島盆地の農地を潤す灌漑用水路が分岐している。

道は国道114号へ合流し、さらに上流へ進むと、福島県道306号大沢広表線が分岐している。こちらの道を進むと、入川補助調整池である。阿武隈川の支流で一級河川の入川に、高さ11.6メートルの重力式コンクリートダム()を建設して形成している。蓬萊ダムから蓬萊発電所までの間は約7キロメートルも離れているため、発電所にほど近い当地に水を一時的に貯えておくことを目的に設けられた。蓬萊ダムから取り入れた水は左岸から注ぎ込まれており、そのまま右岸から蓬萊発電所に向かって送水される。洪水吐ゲート(水門)として3門のラジアルゲートを有し、見た目こそ幅の長いダムであるが、高さが15メートルに満たないため、河川法でいうところのダムではない。

県道306号は入川補助調整池を過ぎると飯野地区中心市街地に至る。ここから福島県道39号川俣安達線を南下すると、蓬萊ダムに着く。周辺はの木が植えられており、春は花見客が多く訪れる名所となる。川沿いには遊歩道が敷かれ、ダムおよび発電所名の由来になった蓬萊岩へと続いている。また、上流に向かって伸びるダム湖はカヌーレーシング公認コースとしても利用されている。

蓬萊ダムの外観は下流の信夫ダムを大きくしたようなもので、7門ある洪水吐ゲートにはストーニーゲートが採用されている。1門あたり高さ6メートル、幅14メートルあり、この型式の水門としては日本最大として紹介されることがある。しかし、高知県幡多郡黒潮町を流れる四万十川に建設された家地川ダム(堰)では、高さ7メートル、幅18メートルのストーニーゲート採用例がある[7]


  1. ^ 電気事業者・発電所名は「水力発電所データベース[1][2]」、その他は「ダム便覧」による(2014年7月3日閲覧)。
  2. ^ 座標は「ジオロケーター 日本語版」にて得た。電気事業者・発電所名は「水力発電所データベース」、その他は「福島県 阿武隈川 蓬萊発電所の竣功」による(2014年7月3日閲覧)。
  3. ^ 電気事業者・発電所名は「水力発電所データベース」、その他は「ダム便覧」による(2014年7月3日閲覧)。
  4. ^ 東北電力「飯野発電所新設工事の本格開始について」2013年5月13日付、2014年7月3日閲覧。
  5. ^ 東北電力「飯野発電所の運転開始時期の変更について」2014年2月3日付、2014年7月3日閲覧。
  6. ^ a b 東北電力「飯野発電所の営業運転開始について」2014年6月30日付、2014年7月3日閲覧。
  7. ^ 電気学会通信教育会編『電気学会大学講座 水力発電(改訂版)』電気学会、1966年より。
  8. ^ a b 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1975年度撮影)






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